コンプライアンス(法令順守)に詳しい元長崎地検次席検事の郷原信郎氏(64)が22日、長崎市内で「『桜を見る会』問題にみる日本社会の病理」と題して講演。「安倍晋三政権の支配下、あしき法令順守がはびこっている」と指摘した。
同会の「前夜祭」を巡る疑惑について、出席した有権者の会費を格安にする上で、安倍後援会・事務所が不足分を補塡(ほてん)していたら公選法違反の利益供与、会場のホテル側が値引きしたなら政治資金規正法で禁じた企業団体献金に当たると解説。「首相は言い訳できないところまできており、将棋で言えば詰み。だが潔く投了しない」と切り捨てた。
首相主催の同会についても「後援会関係者を異常なまでに優遇。世話をする官僚たちはおかしいと思っても抵抗せず、法令に触れないように遂行、隠蔽(いんぺい)もする。権力者への忖度(そんたく)が度を超している」と批判した。
同期だった黒川弘務東京高検検事長の定年延長にも言及。「安倍政権に近い黒川氏を検事総長にする狙いが見え見え。検察の独立性は事実上崩壊した。強力な権限を握る検察を丸ごと政権の支配下に置くのは危険だ」と警鐘を鳴らした。
マスコミOBらでつくる「言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会」と県保険医協会が開き、約220人が聴講した。
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