神木隆之介さん主演 軍艦島舞台「海に眠るダイヤモンド」 脚本家・野木亜紀子さんインタビュー

2024/10/18 [11:00] 公開

ドラマ「海に眠るダイヤモンド」より。神木隆之介さん演じる主人公©TBSスパークル/TBS

ドラマ「海に眠るダイヤモンド」より。神木隆之介さん演じる主人公©TBSスパークル/TBS

大きい写真を見る
炭鉱の島として栄え、1974年に閉山した長崎市の端島(軍艦島)を舞台にしたTBS系(NBC)ドラマ「海に眠るダイヤモンド」の放送が20日、始まる。ヒット作を生み出してきた「日曜劇場」の枠で、主演は神木隆之介さん。脚本を手がけた野木亜紀子さんに端島を舞台に選んだ理由などを聞いた。

 -端島との出合いは。
 端島で撮影され、2000年に放送された「深く潜れ」というドラマが記憶に残っていて、10年に初めて上陸した。閉山前の生活は当時それほど見えず、廃虚のイメージが強かった。テレビドラマ「アンナチュラル」で19年に市川森一脚本賞を受賞し、県の招待でプロデューサーと長崎を訪問。再び島に上陸したほか(15年開館の)軍艦島デジタルミュージアムを見学し、元島民から話を聞くことができた。

 -ドラマの舞台に描くことになったきっかけは。
 台風が来ると一切食料も運んで来られなくなるなど、当時の生活の話だけでもドラマになりそうという印象を持っていた。脚本を手がけた映画「ラストマイル」の制作が落ち着き、同スタッフと次の作品の題材を話し合っている時に思い出し「端島をドラマにしては」と提案した。

 -どう準備を進めたか。
 NHK大河ドラマ「いだてん」の演出チームの一人だった西彼時津町出身の林啓史さんが一緒に取材してくれることになった。昨年9月に長崎市内であった旧西彼高島町立端島小中の同窓会に出席。連絡先を聞いた元島民から知り合いも紹介してもらい、約20人に話を聞いたが、いずれも非常に思い入れが強く、「一島一家」という言葉が印象的だった。集められる資料はでき得る限り集めた。

 -昭和の高度経済成長期の端島と現代の東京を結ぶ物語だが。
 時代というのはつながっており、世代を問わず、続いてきた営みを感じ取ってもらえたら。端島出身であることを隠していた元島民もいたと聞く。炭鉱労働への差別的な感情があった時代かもしれないが、炭がなければ、電気もつかなかったわけで、戦後の日本を支えてきた仕事だと思う。そういう人たちの集まりで社会は成り立っている。頑張った人たちが報われるような状況になればというのは昔も今も変わらない。そうした思いをドラマに込めている。

 -特に注目点は。
 (操業当時の)端島をいかに現代に出現させるかスタッフは必死。道路1本、窓から見える風景など日本中から近いところを探してCG合成を加えて映像化する、これまで日本でなかったチャレンジをしている。ストーリーとしては青春ラブストーリーに、現代と過去がどうつながるかというミステリー的な要素もあるので楽しんでもらえたら。

 【略歴】のぎ・あきこ 1974年生まれ、東京都出身。2010年に脚本家デビュー。塚原あゆ子監督、新井順子プロデューサーと組んだTBS系ドラマ「アンナチュラル」や「MIU404」、映画「ラストマイル」など話題作を世に送り出している。「連続ドラマW フェンス」で23年度芸術選奨(放送部門)文部科学大臣賞を受賞。