麹屋町・川船 八木さん(29) 激しく躍動する3日間に<長崎くんち千紫万紅・4>

長崎新聞 2024/09/27 [11:05] 公開

力強くかけ声を発する八木さん(中央)=長崎市上西山町、諏訪神社

力強くかけ声を発する八木さん(中央)=長崎市上西山町、諏訪神社

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「ヨイヤー」-。網打ち船頭が網を投げ、色とりどりのコイがかかった瞬間、会場は大歓声に包まれる。船回しが終盤に差しかかると、時計回りに5回転する「梅の風車」の大技で、麹屋町の「川船」がさらに盛り上がる。
 根曳(ねびき)の一人、八木翔太郎さん(29)は生粋のくんち好き。物心ついた時には段ボールを太鼓に見立て、たたき遊んだ。先曳(さきびき)を務め、12歳で念願の大太鼓を担当。当時の記憶は今でも鮮明で、「7日の朝一番、演技まですごく長く感じた。でも、始まってからは一瞬だった」。10年前は大学1年生。長崎市外で学業に励んでいたこともあり、裏方でサポート。囃子(はやし)の指導にあたり、本番は庭先回りで船を先導するため、先頭に立ち、街を練り歩いた。
 県外で就職してからも、くんちを忘れたことはなかった。3年前、コロナ禍と転職を機に帰崎。「戻るからには参加する以外、考えられなかった」。仕事を終えてから稽古に励む。約3トンの船を勇壮に操るには、想像以上に体力が必要だと痛感した。さらに、船の中心近くに立って駆け回るため、常に船の位置を把握する責任もある。しかし「くんちを好きな気持ちが上回って、走り込みを始めた1年前からずっと楽しい」と晴れやかに笑う。
 根曳22人のうち20代が3人と少ない中、若い力で稽古を盛り上げてきた。「これまでお世話になった人に感謝し、激しく躍動する3日間にしたい」