イスラエル不招待 米欧大使欠席 長崎市長の一問一答 「紛争当事国こそ呼ぶべきだ」

2024/08/09 [10:21] 公開

報道陣の取材に応じる鈴木市長=長崎市役所

報道陣の取材に応じる鈴木市長=長崎市役所

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日本を除く先進7カ国(G7)や欧州連合(EU)が、長崎市の平和祈念式典へのイスラエルの招待を要求する書簡を送っていたことを巡り、鈴木史朗市長は8日、報道陣の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。

 7月25日に郵送で書簡を受け取った。イスラエルを招待しないのは政治的理由ではなく、あくまで平穏かつ厳粛に式典を実施するため。31日に(不招待を)発表後、私から各国とEU、イスラエルの大使や代理に口頭で説明したが十分に理解されず、平行線のところもある。引き続き粘り強く説明し、理解を求める。

 -これまで書簡の存在を公表しなかった理由は。
 相手国が公表を望んでいるか確認が取れなかった。

 -日本政府と相談した上で不招待を判断したのか。
 長崎市としての判断。外務省とは常に国際情勢などの情報共有をし、事務的やりとりもある。

 -現時点でも不招待の判断は変わらないか。
 変更はない。

 -紛争当事国を招待すべきではないとの声もある。
 私自身はロシアとベラルーシを含む紛争当事国こそ式典に呼ぶべきだと思う。今回は呼べずに残念だ。

 -X(旧ツイッター)上で市の判断を支持する意見も目立つ。
 私の決定にサポートの意思を表明する方もたくさんいて、とても勇気づけられる。他方で政治的理由による判断ではないという真意が、十分に伝わっていないところもある。多くの方への説明に努めたい。

 -なぜ式典を平穏に執り行う必要があるのか、市長の言葉で説明を。
 8月9日は長崎市にとって1年で一番大切な日。被爆者の平均年齢は85歳を超え、被爆者である私の両親も90歳。高齢の体にむちを打ち、酷暑の中で式典に参加する被爆者もいる。そういう式典が妨害の影響を受けたり支障が生じたりしてはならない。円滑に式典ができるよう心を配る一環として、今回の判断をした。

 -イスラエル不招待の影響で、長崎に原爆を投下した米国の大使は欠席する。
 米国に限らず、各国にはできるだけハイレベルで、大使の参加をお願いしていたが、米大使が参加できず残念。来年以降に参加していただきたい。