凍結調理で効率化 五島・なごみ会が新給食システム 長崎県内2例目、離島で初…人手不足解消へ

長崎新聞 2025/04/20 [13:00] 公開

導入した超高速凍結機=五島市、かけはし木場

導入した超高速凍結機=五島市、かけはし木場

大きい写真を見る
長崎県五島市の社会福祉法人なごみ会(山口和洋理事長)は、超高速凍結機を導入し、5月から給食提供に「クックフリーズ方式」を取り入れた新たな体制を始動する。調理後すぐに凍結し、提供時に再加熱することで、衛生的かつ効率的に食事を提供する仕組みで、離島で深刻化する人手不足の解消にもつなげる。

 県によると、同方式の導入は西海市の社会福祉法人ふるさとに次いで県内2例目で、離島では初めて。

 同法人では現在、ショートステイとサービス付き高齢者住宅がある「かけはし木場」(同市木場町)と、ショートステイとデイサービスがある「かけはし福江」(同市武家屋敷3丁目)の2施設で調理をしており、1日計約270食を提供。今回の体制移行で、全ての調理業務を「かけはし木場」に集約し効率化を図る。

 同方式では、セントラルキッチンでまとめて調理し、最大2週間分の食事をストック。平日に1・4日分ずつ生産することで、急な欠勤にも対応できる柔軟な体制が可能になる。例えば、月曜日にその日の分(1日分)と翌日の一部(0・4日分)をカバーし、このペースで平日5日間調理すれば、1週間(7日分)の食事が確保できる計算だ。

 これまでは毎日給食の用意が必要だったが、週末は調理を休んでも提供が可能になり、労働負担の平準化や欠勤時のリスク分散、食材ロスの削減にもつながる。厨房(ちゅうぼう)スタッフは現在の13人から8人程度で料理ができる見通しで、業務負担の軽減やほかの業務へシフトすることで、メリハリある人材配置が期待できる。

 凍結技術の進歩により、解凍後も高品質な食事が提供でき、食事制限などへの個別対応も柔軟に行えるようになる。災害時にも強く、停電が発生しても2~3日は冷蔵状態を維持できる設計という。

 なごみ会では今後、配膳業務の効率化や外販事業の展開も視野に入れ、さらなる省力化と地域貢献を目指す。山口理事長は「これまで施設の弱点だった給食提供が、新たなシステム導入によって強みに変わる。持続可能な給食提供を通じて、地域や福祉現場の人手不足という課題にも貢献したい」と話す。