全国新幹線網に直結を 長崎で1000人シンポジウム、フル規格化へ機運高める

2024/12/17 [11:00] 公開

新幹線整備推進に向け約千人が集まったシンポジウム=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

新幹線整備推進に向け約千人が集まったシンポジウム=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

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九州新幹線長崎ルート未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)のフル規格化に向け、機運を高めるシンポジウムが16日、長崎市内で開催され、長崎、佐賀両県から約千人が集まった。登壇者らは、全国の新幹線ネットワークにつなぐことで大きな経済波及効果を得られると口をそろえた。
 九州新幹線西九州ルート整備推進協議会(会長・森拓二郎県商工会議所連合会長)が主催。来賓の大石賢吾知事は全線フル規格化について「佐賀、福岡を含め西九州地域全体で効果を享受できる必要不可欠なもの」と強調した。
 松下琢磨JR九州常務は西九州新幹線(武雄温泉-長崎)について、定期券も含め利用は今後も伸びる見込みだが、対面乗り換えに「面倒」「くつろげない」「荷物を抱えると大変」と不満が寄せられていると報告。佐賀駅を通るルートが乗降客が多く、開業効果を最大化できる一方、佐賀県が関心を示す佐賀空港経由の南回りルートを「余計に所要時間がかかり運賃も高くなる」と説明した。
 地域・交通計画に詳しい波床(はとこ)正敏大阪産業大教授は、1日13万人が利用する新大阪駅で常時、地名が案内表示・放送されればPR効果が抜群だが、直通運転がない佐賀と長崎は「存在感がない」と指摘。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の資料を基に、乗り換え1回につき「所要時間が27分伸び、92キロ遠回りするのに相当する心理的抵抗を乗客に与える」と試算した。
 乗り換えを解消しフル規格で山陽新幹線に直結すれば、佐賀県にとっても「佐賀市から大阪まで2時間台。リニア中央新幹線も使えば東京に4時間以内で行けるようになる。高度な産業立地の可能性がある」とのメリットを挙げた。