「危険盛り土」を宇宙から把握 佐世保市、光学衛星画像を活用へ…工事着手時期を判断

長崎新聞 2025/04/20 [12:00] 公開

光学衛星画像を使った盛り土チェックのイメージ

光学衛星画像を使った盛り土チェックのイメージ

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危険な盛り土工事が社会問題化する中、長崎県佐世保市は本年度、盛り土の工事着手時期を判断するため光学衛星画像を活用する。従来の危険盛り土把握は、地域住民からの通報を基にした目視確認が中心で、広範な監視や早期発見が難しい面があった。宇宙から“監視の目”を光らせ、工事着手時期の特定につなげる。

 市は盛り土規制法に基づき、5月23日から市内全域を規制区域に指定する。規制法は静岡県熱海市で2021年に発生した土石流災害を受けて施行され、一定規模以上の盛り土に許可や届け出が必要になった。規制区域では土地所有者らの責務を明確化し、罰則も強化された。

 光学衛星画像は、盛り土工事で疑わしいケースなどがあった場合、着手時期が規制区域指定の前なのか後なのか判断が難しいため導入を決めた。規制区域の指定直後に佐世保市内全域を宇宙から撮影し、いつごろ工事に着手したのかの判断に役立てる。

 光学衛星画像を使うことで広範囲な盛り土を効率的にチェックすることも可能になり、市都市整備部は「航空写真を使うよりコスト削減にもつながる」としている。

 また市は規制法に基づき、既存盛り土などの基礎調査も実施しており、盛り土などの分布を把握。本年度は応急対策の必要性などを判断していく。