【動画】対馬・浅茅山 山肌に残る万葉の面影

2020/02/11 [12:58] 公開

朝鮮半島を目指した遣新羅使の船が入港したと伝わる三浦湾から望む浅茅山(中央)=対馬市美津島町犬吠

朝鮮半島を目指した遣新羅使の船が入港したと伝わる三浦湾から望む浅茅山(中央)=対馬市美津島町犬吠

大きい写真を見る

 対馬市中部東岸の三浦湾と、西岸の浅茅湾(あそうわん)に挟まれた美津島町大山周辺には、古代航路ゆかりの地名が残る。8世紀の遣新羅使(けんしらぎし)が朝鮮半島への旅の途中、晩秋の情景を詠んだ浅茅山(あさぢやま)(187メートル)もその一つ。なだらかな山容は、万葉の昔の面影を今に伝えている。
 「百船(ももふね)の 泊(は)つる対馬の 浅茅山 時雨(しぐれ)の雨に もみたひにけり(たくさんの船が停泊する港がある。対馬の浅茅山は、この時雨の雨で一面に色づいてしまったなあ)」-。天平8(736)年の遣新羅使が詠んだ和歌は、往事の情景をこう詠んでいる。
 昨秋、三浦湾側にある犬吠(いぬぼえ)の漁港から望むと、黄色くなったコナラなどの葉が稜線(りょうせん)を彩り、青い海に映えていた。対馬の万葉集に詳しい永留史彦さん(65)=同市厳原町=は「和歌を詠んだ地がどちらの湾かは諸説あるところ。しかし、夕日が山肌を照らす浅茅湾側からの眺めもまた、美しいものです」と薦めてくれた。木々は今、葉を落として芽吹きの季節を待っている。