国境の島、対馬の経済は、冷え込む日韓関係の影響をもろにかぶった。対馬市によると、今年の観光客数は、昨年比4割減の26万人台。島内消費額も33億円ほど落ち込む見込みだ。
国際海路は韓国の釜山港-比田勝港間と、厳原港間の2ルートがある。日韓の6社が参入して運航していたが、日本政府が対韓輸出の管理強化を始めた7月以降、利用客が大きく減少。8月中旬から厳原ルートの全便が止まり、比田勝ルートでも多くが運休している。
雇用にも影響が大きい。対馬公共職業安定所によると、7月以降、事業者都合で離職届を出した人は11月末までに56人。このうち、インバウンド(訪日外国人)客の増減に左右されやすい宿泊業が25人、観光バスなどの運輸業が17人、外航海運業は7人で、全体の9割を占めた。
空路については、韓国のコリアエクスプレスエアが7月以降にソウル・金浦(キンポ)空港-対馬空港間で就航させるとしていた小型ジェット機のチャーター便構想が暗礁に乗り上げている。同社は夏ダイヤからの運航を検討中としているものの、現時点では「日韓情勢の影響が大きく、推移を見守っている」と態度を保留している。
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