佐世保市の陸上自衛隊相浦駐屯地に本部を置く水陸機動団の初代団長、青木伸一陸将補(53)は19日、離任する。2018年3月の機動団発足から礎を築いてきた。部隊の進化や自衛隊が地域と関わる意義、佐世保に対する思いを聞いた。
-これまでの2年近くを振り返ってほしい。
わが国を取り巻く安全保障環境は厳しい。その対処能力や抑止力を上げるため機動団は創設された。着任前に思い描いていた姿がだいたい形になり、達成感と充実感がある。島しょ防衛を任された者として役割は果たせたと思うが、さらに高いレベルを目指さないといけない。
-米国やオーストラリアなど海外での訓練にも参加した。三つ目の機動連隊の創設も予定されている。今後はどのように展開するのか。
実践的な訓練は、国内より海外のほうが専念できる。他国の軍隊との共同訓練は、互いの理解や連携を深めるために重要だ。海外訓練の増加を望みたい。今後はさらに精強な部隊となり、任務の幅や規模も大きくなると思う。
-課題は何か。
訓練基盤は絶対に必要だ。県内では、南島原や五島で訓練をさせてもらった。いろいろな地域にお願いして新たな訓練場所を開拓している。部隊を拡大させる上で、任務に耐えうる志を持った隊員を育成するのは難しい。部隊や組織の価値を発信し続け、隊員を引きつけられるかが問われている。
-地域のイベントにも積極的に参加していた印象がある。自衛隊が地域と関わる意義は何か。
地域との良好な関係がないと(自衛隊は)存在できない。水陸機動団は「新参者」なので、どのように地域に溶け込むかが、課題だった。隊員の力を借りて地域と一体化をする努力をしてきた。佐世保に陸自の精強な部隊があることは安全保障上意義深く、われわれの存在が地域の安心につながれば、うれしい。
-佐世保市民や県民にメッセージを。
最も印象が強いと言っても過言ではないほど、佐世保は思い入れの深い土地になった。離れても、連絡を取り合える個人的な関係もつくることができた。(市民の皆さんには)隊員だけではなく、その家族も快く受け入れ、交流をしてもらった。感謝しかない。