長崎県東彼波佐見町中尾郷の陶郷・中尾山。緩やかな傾斜に沿って、れんが造りの「部屋」が階段状に連なる。江戸時代末期に全長約160メートル、33室の窯があったとされる「中尾上(なかおうわ)登窯跡」は、2000年に国史跡の指定を受けた。町は09年から復元整備に取り組む。
町内には、波佐見焼約400年の歴史を伝える登り窯跡が30カ所以上確認されている。中尾山にあった中尾上登窯と大新(おおしん)登窯(全長約170メートル)は、世界1、2位の規模を誇る巨大な窯だった。
赤々と炎が燃え盛り、人々の暮らしを支える日用食器を大量に生産した。町教委の中野雄二学芸員は「復元した登り窯から、焼き物のまちとしてのスケールの大きさを感じてほしい」と語る。
中尾山は、今も多くの窯元が軒を連ね、県内外の焼き物ファンが訪れる。郷自治会長で窯元「筒山太一窯」の福田友和さん(67)は「人のぬくもりや懐かしい景色、のんびりとした時間に引きつけられるリピーターも多い」と話す。
【動画】東彼杵郡・中尾上登窯跡 世界最大規模を復元
長崎新聞 2019/11/19 [18:01] 公開