九州文化学園小中学校(長崎県佐世保市花園町、百津眞人校長)は、公益財団法人日本デザイン振興会(東京)が選定するグッドデザイン賞を受賞した。閉校した中学校の校舎を再利用してコストを抑えつつ、備品を工夫して先進的な教育に取り組みやすい環境をつくったことが評価された。
4月に県北初の小中一貫校として開校した。現在は小学1年と中学1年の計36人が在籍。▽英語▽IT▽茶道を中心とした日本文化教育-を柱にカリキュラムを展開している。
施設は2011年に閉校した旧市立花園中の校舎を改修した。施設設計は日比野設計(神奈川)が担当した。
各教室の用途に合わせ、オリジナルの備品を用意した。集会などに使用しているアクティブラーニングの教室には、組み合わせると円形になる勾玉(まがたま)形の机を配置。議論の途中で、さらに少人数で話し合いたい場合は机を切り離し、小さなグループをつくることができる。
百津校長は来年度から始まる新学習指導要領で、話し合いなどを通じて課題解決力を育てる「主体的・対話的で深い学び」が盛り込まれたことに言及。「これまでなら、机を移動して班をつくることに時間を取られてしまう。50分の限られた授業の中で話し合う時間を多く確保できる」と環境づくりの重要性を強調する。
備品や校内の施設には物を大切にする気持ちを養うために木材を多用。児童・生徒にも好評だ。中学1年の坂本葵さん(12)は「広くて木の香りがする図書館が好き」と笑顔。昼休みに階段の脇のクライミングウォールで遊んでいた小学1年のヒル・杏兵・ウィリアム君(6)は「うんていから逆さまにぶら下がることができる」と声を弾ませた。
来年度は小中それぞれ1年の新入生に加え、小学2年、中学2年の編入生も受け入れる。百津校長は「受賞は、公立の学校ではできないきめ細かな授業や対応を理解してもらう弾みになる。まずは学校を知ってほしい」と話した。
九州文化学園小中学校 グッドデザイン賞を受賞 閉校校舎利用 先進的教育へ環境づくり
2019/10/16 [00:07] 公開