長崎県内タクシー業界がキャッシュレス決済の導入を加速させている。消費税増税に伴うポイント還元制度に対応し、インバウンド(訪日外国人客)需要も取り込む。一方で、大半の事業者が1日から増税分を運賃に転嫁したが、国に要請した引き上げ額にはとどいていない。
長崎タクシー共同集金によると、9月16日に長崎バスグループの地域ICカード「エヌタスTカード」を、10月1日にソフトバンクとヤフー傘下のQRコード決済「ペイペイ」をそれぞれ導入した。11月1日には、中国アリババグループのQRコード決済「アリペイ」も取り入れる予定。
これに先立ち4月にはQRコード決済「楽天ペイ」を導入していた。中国系の「ウィーチャットペイ」を使える事業者もある。
エヌタスTカードは長崎交通圏(長崎市、西彼時津町、長与町、諫早市の一部)の約9割を占める約1300台で使うことができ、全国共通のTポイントで0.5%還元される。ペイペイとアリペイ、楽天ペイが利用できるのは、長崎交通圏や佐世保市などの計約1500台。ペイペイと楽天ペイの還元率は5%。
長崎タクシー共同集金は「決済手段の選択肢を広げ、利便性向上を目指す。中国人観光客の利用も期待している」としている。
一方、1日の消費税増税に合わせて大半の事業者が運賃を値上げした。長崎交通圏の普通車の場合、初乗り運賃(距離1キロまで)を10円引き上げ、500円、510円、520円のいずれかになった。走行距離に応じた加算運賃も、3メートル短縮されて193メートル、189メートル、185メートルのいずれかで50円上がる。
各事業者は昨年以降、これを上回る運賃引き上げを国に要請していた。だが国は8月30日、増税分の転嫁だけを認め、運転手の待遇改善やキャッシュレスなどに対応する改定は継続審査とした。
長崎県内のタクシー各社 キャッシュレス対応を加速 エヌタスTカードやQRコード 消費増税転嫁も値上げ限定
2019/10/04 [00:14] 公開