吉武(島原)劇的逆転 レスリング女子57キロ級 南部九州総体 今大会の長崎県勢「金」第1号

2019/08/01 [11:08] 公開

【レスリング女子57キロ級決勝】試合終了間際、片足タックルからバックを取りにいく吉武(島原、左)=熊本県玉名市総合体育館

【レスリング女子57キロ級決勝】試合終了間際、片足タックルからバックを取りにいく吉武(島原、左)=熊本県玉名市総合体育館

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 全国高校総合体育大会(インターハイ=南部九州総体)第5日は7月31日、熊本など4県で11競技が行われ、長崎県勢はレスリング女子57キロ級の吉武まひろ(島原)が日本一に輝いた。吉武は今大会の県勢金メダル第1号。

 ■残り数秒 夢が現実に 

 レスリング女子57キロ級決勝。ポイントは2-3で残り時間は10秒を切った。「何もしないで負けたくない」。吉武(島原)はこの土壇場で仕掛けた。素早いタックルで右脚を取り、逆の脚を刈る。最後は倒れた相手のバックに回って4-3の劇的逆転V。高校最後の夏、追い掛けてきた日本一の夢が、現実になった。

 幼いころからレスリングのほか、相撲や柔道もやってきた。土黒小時代は女子相撲で全国優勝。だが、柔道部に入った国見中時代は県で1番になれなかった。「高校はやっぱりレスリングかな」。島原高に進んで決めた最初の目標は「全国大会出場」だった。

 その目標はすぐに達成した。培ってきた格闘技の基礎、組んでも、距離を取っても対応できる才能-。1年生の夏から、2年連続で全国8強入りを果たした。そうなると当然、次の狙いは全国制覇。稲本監督の「日本一になれる力はある」という言葉を胸に、男子部員と一緒に練習を重ねた。今夏は自信を持ってマットに立つことができた。

 決勝の相手は優勝候補の徳原(高知東)。第1ピリオドは冷静に試合を運んで1-0とリードした。第2ピリオドは一進一退の攻防から、残り約30秒でバックを取られて2-3となった。だが、ここからが昨年までとは違った。「終盤に負けていたらタックルにいく」。そう決めていた通りに、残り数秒でそれを遂行。稲本監督は「あの場面で、よく諦めずにタックルにいった。本当に成長した」と目を細めた。

 これで高校日本一の目標はクリアした。「次は国際大会に出てみたい」。最高の夏を経て、17歳の夢がまた、ワンランク上がった。