「佐世保バーガー」守りたい!地域団体商標に登録 品質の維持向上図る

2019/07/18 [11:00] 公開

登録証を手に「念願がかない、子どもが生まれたような喜びを感じている」と話す糸長理事長=佐世保市船越町、佐世保バーガー本店

登録証を手に「念願がかない、子どもが生まれたような喜びを感じている」と話す糸長理事長=佐世保市船越町、佐世保バーガー本店

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 長崎県佐世保市の名物、佐世保バーガーが、地域のブランドを守る「地域団体商標」に登録された。市内の販売店が「佐世保バーガー事業協同組合」を組織。9年前から準備を進めていた。粗悪な商品は「佐世保」を名乗れないようにして、品質の維持向上を図る。
 1950年ごろ、米海軍の関係者からレシピを聞いて作り始めたとされる。米国ゆずりの大きさが魅力。2000年代初め、テレビ番組や雑誌で取り上げられ、全国的に知られるようになった。
 「地産地消」「作り置きをしない」など、業者間で一定の取り決めはあったものの、明確な規格はなく全国で「佐世保バーガー」が乱立。薄いパンにパテを挟んだだけの粗悪な商品も出回った。佐世保のイメージダウンにもつながるとして、10年に組合を設立した。
 組合には現在、24事業者32店舗が加盟。理事長を務める糸長真也さん(40)によると、各店舗に個性があり、規格の統一は難しかったという。組合員で意見を出し合い、「バンズ・パテ・野菜・ソースを入れる」「手作り」「市内に店舗や工場を置き、1年以上の経験がある」といった条件を定めた。
 15年に特許庁に出願。しかし、すでに全国的な知名度があったため、関係者の間では「99%無理」との声が根強かった。それでも特許庁に粘り強く説明を繰り返し、今年6月14日に登録された。出願から4年以上かかっての取得は珍しいという。
 商標認定品を示すシールを作って差別化を図るほか、定期的に組合員の品評会を開き品質向上も目指す。糸長さんは「佐世保と言えばハンバーガー。ソウルフードとして、子どもの代まで残せるような取り組みを続けたい」と語った。