6日に長崎市で開かれた県警柔道・剣道大会で、早岐署大塔交番の石川鮎巡査(24)は、剣道女子個人の部で優勝した。「剣道が業務に生きている。これからも鍛えたい」。競技歴18年で培った体力と持ち前の笑顔で、住民の安全安心な暮らしを支えている。
諫早市出身。小学2年の時、父の勧めで竹刀を握った。中学は部活動と地元の道場で力を付け、県内の強豪・西陵高に進学。2年時には主将としてチームを引っ張り、春の全国選抜大会に出場した。
小学生のころから指導者やチームメートの保護者に警察官が多く「いつか自分もなりたいと思うようになった」。高校、大学で受けた試験は不合格だったが、諦めずに専門学校に進学。3度目の挑戦で合格し、2018年4月に警察官になった。
県警柔道・剣道大会は昨年も出場したが、準々決勝で敗れた。署の道場で練習を積み、迎えた今大会。準々決勝で前回王者から面2本を奪って勝利すると、勢いに乗って頂点まで駆け上がった。
大塔交番には昨年9月に配属。現在は実習期間で、先輩に業務の基本を教えてもらっている。将来は交通課を希望しており、事故のない町づくりが目標だ。
交通取り締まりでは、嫌な顔をされたり、文句を言われたりすることもある。一方で「危険なことをしていた。教えてくれてありがとう」と感謝されたこともある。「全国で悲惨な事故が増えている。再発防止の取り組みが必要」と考える。
女性警察官ならではの、やりがいも感じている。ドメスティックバイオレンス(DV)やわいせつなどの被害に遭った女性が、相談しやすいからといって頼ってくれた。「これからも地域の人の心に寄り添い、何かあったときに『大塔交番のあの人に相談してみよう』と思ってもらえるような警察官になりたい」。そう決意している。