相互関税

長崎新聞 2025/04/04 [09:45] 公開

れ、レシプロカル…? 久しぶりに英語の辞書を引いた。あまり難しい単語は知らないし使わない…と評判の人なのに。この日のためにあつらえたのだろう、ピカピカの一覧表のボードに「レシプロカル・タリフス」と表題がある▲レシプロカルは「相互の」を意味する形容詞、タリフは「関税」だ。トランプ米大統領が各国との貿易で新たに課す「相互関税」の税率を発表した。レシプロカルには「互恵的な」の訳語もあるようだが、もちろんここでは出番がない▲米国の一方的措置を引き金に貿易戦争が激化する-との観測がある。世界経済の先行きを危ぶむ見方が広がり、東京の株価はがくんと下がった。関税がイヤなら米国で製造すればよい、と生産や投資を国内に呼び込む狙いらしいが、事はそう単純に運ぶか▲輸入品が片っぱしから値上がりすれば米国の家計にも大きな痛手になる。「台所が厳しい」-英語だと「キッチンが…」とか言うのだろうか▲発表の数時間後、とびきり優秀な“日本製品”が劇的なサヨナラ本塁打で球場を沸かせた。今季3号。大統領の招きで近くホワイトハウスを訪問予定▲「やあ、オオタニ選手。君のサラリーはドルの流出だ。米国人の出場機会を奪ってもいる。そうだ、ドジャースには関税を…」。さすがに言わないか。(智)