大村の分娩施設減少、2カ所に 医療提供体制確保に支障 長崎県

2025/03/08 [11:30] 公開

長崎県大村市水主町2丁目の大村中央産婦人科(荒木文明院長)が今月末で分娩(ぶんべん)の取り扱いをやめることが分かった。妊婦健診は続ける。同院は取材に、医療提供体制の確保に支障が出たためとしている。市内の分娩施設は2009年までの5施設から減少し、国立病院機構長崎医療センターなど2カ所になる。
 大村中央産婦人科は1988年に開業。16床を備え市民の出産を支えてきた。今後は同医療センターなどと連携した「セミオープンシステム」に移行し、中央産婦人科は通常の妊婦健診を実施。里帰り出産の場合も分娩近くまで健診する。産後の健診や母乳・育児に関する相談も受け付ける。一方、分娩や救急対応などは主に同医療センターが担うことになる。
 市によると、同市の合計特殊出生率は1・74(2022年)と全国の1・26より高く、出生数は年間800人台を維持。23年の市内医療機関での年間分娩取扱数は計約1050件だった。
 開会中の定例市議会一般質問では、複数の議員が分娩施設減少の影響をただした。中崎秀紀議員(進風おおむら)の質問に、園田裕史市長は「当面の妊婦健診や分娩は対応可能」とし、市民病院での産科設置の可能性などあらゆる方策を検討したいと述べた。