大村、嬉野両市「全線フル」訴え 新幹線長崎ルート与党検討委が意見聴取 佐賀市は慎重姿勢

2024/07/25 [12:15] 公開

意見聴取後、報道陣の取材に答える園田大村市長=衆院第2議員会館前

意見聴取後、報道陣の取材に答える園田大村市長=衆院第2議員会館前

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九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)の整備方式を巡り、与党検討委員会は24日、東京都内で沿線3市などの意見を聴取した。長崎県大村市と佐賀県嬉野市は新駅周辺の集客力向上など西九州新幹線(武雄温泉-長崎)の開業効果を説明し、早期の全線フル規格整備を訴えた。一方、佐賀市は慎重姿勢を示し、財政負担などについて「佐賀の特殊な事情に向き合ってほしい」と求めた。
 非公開の会合後、報道陣の取材に応じた園田裕史大村市長は、検討委で「新大村駅周辺の商業エリアに県内外から客が来るなど交流人口拡大を数値で示した」と説明。将来的に全線フル規格とリニア中央新幹線の整備効果で、関東や関西圏の経済力を呼び込む効果にも言及したと語った。
 一方、坂井英隆佐賀市長は新鳥栖-武雄温泉について「一貫して在来線の活用が前提だった」とし、新幹線と在来線を直通運転できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車)の導入断念で「異例の事態が生じている」と指摘。財政負担や整備方式について「これまでの歴史と特殊性を踏まえ、国として何ができるか多角的に考えてほしい」と求めたとした。
 村上大祐嬉野市長は全線フル規格と合わせ佐賀駅ルートでの整備を要望。陣内芳博佐賀商工会議所会頭は整備方式について「判断できる材料の提供」を要望するにとどめたとした。
 会合後、検討委の森山裕委員長は佐賀県側の財政負担について「西九州(長崎)ルートだけでなく全国の新幹線の問題。慎重に検討しなければならない」と話した。
 検討委は30日、大石賢吾知事、鈴木史朗長崎市長、森拓二郎県商工会議所連合会長、南里隆佐賀県副知事、古宮洋二JR九州社長から意見を聞く予定。