オリックス生命保険(東京)が長崎市のベイエリアに構えた新拠点は、社員の「働きやすさ」にこだわった。人手不足を背景に、福利厚生やコミュニケーション機能を充実させ、社員の定着率を高めている。
港を一望する最上11階は270席のカフェテリアにした。ソファも置き、教会や眼鏡橋など長崎名物をCGで描いた壁画(長さ10メートル、高さ1.6メートル)は活水女子大生活デザイン学科の学生に制作依頼した。片岡一則社長は「これほどくつろげる空間は東京本社にもない。苦情対応などは負担が大きい。ここでリフレッシュしてもらえれば」と話す。
事務フロアは階ごとに色調を変え、一対一の面談ルームなど多様なコミュニケーションスペースを設けた。子育てしながら働く30代社員は「壁や柱が少なくて明るく、景色も良い。快適」と笑顔を見せる。
同社の個人保険新契約件数(2017年度末)は全国約63万件、県内8908件でいずれも業界7位。特に医療保険が好調で、業容拡大に伴い全社員数はここ5年で倍増し1740人となった。
成長を支えるのは社員の定着率の高さだ。過去3年間に産休・育休の取得者は110人おり、うち職場復帰しなかったのは1人だけ。長崎ビジネスセンターでも、就業1カ月以内の離職者はおらず、半年以内の離職率も8%に抑えている。同社は「初期育成や業務環境についての丁寧な事前説明によって入社前後のギャップを軽減し、早期離職を防いでいる」という。
福利厚生も手厚い。有給休暇とは別に連続5日間のリフレッシュ休暇制度があり、取得者には奨励金5万円を支給。昨年からは「自分磨き制度」を導入、複数の補助メニューから年間6万円分を自由に選択利用できる。具体的にはベビーシッターや育児用品購入、語学・資格取得、家事代行、フィットネスクラブなどがある。
「風通しの良い職場」も目指す。困り事や不便について社員に無記名アンケートし、要望の多かった社会保障や退職金に関するセミナーを実施した。日ごろの思いや業務改善提案など社員がいつでも自由に発信できるデータベースを運用。社内で公開、情報共有し管理職らが回答を書き込む。
片岡社長は「長崎でもコールセンターが多数進出し人材確保競争が激しくなった。地元で採用され育った社員が組織を回していくようにするため、働きやすい環境を整えていく」としている。
「働きやすさ」で社員定着 オリックス生命 新拠点 快適空間、福利厚生充実
2019/05/11 [10:50] 公開