介護食品の品質向上と市場拡大を目的とした「第5回介護食品・スマイルケア食コンクール」で、ミカド観光センター(長崎県雲仙市)が運営する「みかど本舗」が製造した「舌でつぶせてとろける なめらかすてら」が、最高賞の農林水産大臣賞に次ぐ農林水産省食料産業局長賞を獲得した。同賞の受賞は県内初。
「なめらかすてら」は、飲食物などをのみ込む際に誤って気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)により、肺炎や窒息を起こす危険性がある「嚥下(えんげ)障害」への認知度を高めようと、長崎大学病院の歯科医師、三串伸哉さんが発起人となったプロジェクトチームが開発。介護福祉士の国家試験で、嚥下障害がある高齢者が注意する食品としてカステラが挙がっていたことがきっかけだった。
医療関係者やパティシエ、カステラ職人、大学生らで議論と試作を重ね、商品化。素材に寒天を使用するなど工夫し、舌の上で溶けていくような滑らかな食感に仕上げた。昨年8月から、みかど本舗が電話予約とインターネットで販売している。
コンクールは日本食糧新聞社(東京)が毎年開催。今回は「健康維持上栄養補給が必要な人向け」「かむことに問題がある人向け」など5部門に61社から104商品の応募があった。専門家らが「見た目の美しさ」「食べやすさ」「おいしさ」などを基準に審査。大臣賞1点、局長賞4点、審査委員長賞10点、入選9点が決まった。
「受賞をきっかけに、多くの人に嚥下障害について関心をもってもらえたら」と三串さん。ミカド観光センター副社長の川崎幸治さんは「いろいろな分野の人が集まって知恵を出し合い、カステラの可能性が広がった」と語った。
個包装で1セット18個入り5400円(税別)。ローソン長崎大学病院店などで1個300円(同)で購入できる。4月中には4個入り1200円(同)も発売する予定。問い合わせはみかど本舗のフリーダイヤル(0120.010.119)。
「なめらかすてら」開発 高齢者の誤嚥きっかけ
2019/04/05 [00:01] 公開