長崎・淵中いじめ自殺から30年 「悲しいこと起こさない」追悼集会で校長、生徒誓う

長崎新聞 2025/04/29 [10:45] 公開

自ら命を絶った女子生徒を追悼し、黙とうする岩下校長(左)と全校生徒=長崎市立淵中

自ら命を絶った女子生徒を追悼し、黙とうする岩下校長(左)と全校生徒=長崎市立淵中

大きい写真を見る
1995年4月、長崎市梁川町の市立淵中で、女子生徒がいじめを苦に自殺してから30年となった28日、同校体育館で女子生徒の追悼集会が開かれた。岩下俊明校長と生徒代表が花を手向け、全校生徒が黙とう。岩下校長は「二度と悲しいことを起こさない」と誓った。

 集会は、命や人権の大切さと平和を発信する生徒の自主組織「淵中いじめ対策委員会(FPKO)」(岩永ほのか委員長)が主催。事件翌年から毎年開いている。

 岩下校長は「淵中にとって、とても大事な日。悲しいことが二度と起こらないように、どうすればいいか考え、主体的に活動し、継続することが大事だ」と生徒に呼びかけた。

 各学年の代表が意見を発表。いじめを受けた経験がある神門みなみさん(15)=3年=は「自分の存在を否定されるような空気だった。かけがえのない個性を互いに認め合うことが必要」と訴えた。

 最後にFPKOの田川陽太さん(14)=3年=が「気持ちを伝えつながり合い、みんなで支え合い、今日ともした命・人権・平和の心の灯を忘れずに学校生活を送る」と宣言した。

 集会後、教職員や市教委の関係者らが、女子生徒が自ら命を絶った現場の近くで線香を上げた。生徒たちは教室に移動。学年の垣根を越えて交流する「縦割り班活動」で各学年が交じり合い、理想の学校像を語り合った。

 自殺した2年の女子生徒=当時(13)=は「私は毎日毎日行動と言葉でいじめられているのに誰も気付いてくれない」などと同級生のいじめを告発する遺書を残し、校舎3階から飛び降りた。