長崎県と佐世保市が東彼川棚町で進めている石木ダム建設事業で、県は20日、地元説明会を同町で開いた。反対派の市民団体は治水効果や地盤の適格性に疑問を示して計画の見直しを求めたが、県は事業の正当性を改めて強調した。県による地元説明会は約11年ぶり。
事業に反対する市民団体「市民による石木ダム再評価監視委員会(市民委)」の要請を受けて開催した。市民委が、技術的な疑問点をまとめた「15の評価ポイント」のうち利水関係を除いて県が説明。市民委メンバーで元国交省河川局防災課長の宮本博司氏が質問を重ねた。
宮本氏は、気候変動による水害の激甚・頻発化を受け、国交省の治水の考え方が河川とダム中心から、流域全体の多様な対策を組み合わせた「流域治水」に転換していると説明。「治水計画の根本を見直す時期だ」とただした。県は、県管理の2級河川では、直ちに見直しが必要な事例はないと反論した。
このほか宮本氏は、ダムの貯水池の周辺地盤が水を通しやすく、地下水位が低いために漏水が起きる可能性があると指摘。県の担当者は「現地で歩き回って調査し、ダムサイトとして適切と判断している」と述べた。
県は「ダムの必要性については司法判断が確定し、議論する段階にない」という立場だが「(水没予定地の)13世帯に説明を尽くす必要がある」として説明会を開いた。
説明会後の取材に、市民委の西島和委員長は「県が公開で対話の機会を設けたことについては前向きに受け止めている。今後も説明の姿勢を継続してほしい」、県の中尾吉宏土木部長は「住民の理解を目指す考えに変わりはない。今後の説明は、どのような形かも含めて検討したい」とそれぞれ述べた。
水没予定地に暮らす反対住民を含む約100人が傍聴。反対住民の岩下すみ子さん(76)は「こちら側の質問を突きつけることができたのは何年ぶりだろう。県はまともに回答できなかった」と話した。一方、ダム建設に理解を示す川棚町の70代の男性は「市民委の質問は県をあげつらうばかりだった」と批判した。
事業に反対する市民団体「市民による石木ダム再評価監視委員会(市民委)」の要請を受けて開催した。市民委が、技術的な疑問点をまとめた「15の評価ポイント」のうち利水関係を除いて県が説明。市民委メンバーで元国交省河川局防災課長の宮本博司氏が質問を重ねた。
宮本氏は、気候変動による水害の激甚・頻発化を受け、国交省の治水の考え方が河川とダム中心から、流域全体の多様な対策を組み合わせた「流域治水」に転換していると説明。「治水計画の根本を見直す時期だ」とただした。県は、県管理の2級河川では、直ちに見直しが必要な事例はないと反論した。
このほか宮本氏は、ダムの貯水池の周辺地盤が水を通しやすく、地下水位が低いために漏水が起きる可能性があると指摘。県の担当者は「現地で歩き回って調査し、ダムサイトとして適切と判断している」と述べた。
県は「ダムの必要性については司法判断が確定し、議論する段階にない」という立場だが「(水没予定地の)13世帯に説明を尽くす必要がある」として説明会を開いた。
説明会後の取材に、市民委の西島和委員長は「県が公開で対話の機会を設けたことについては前向きに受け止めている。今後も説明の姿勢を継続してほしい」、県の中尾吉宏土木部長は「住民の理解を目指す考えに変わりはない。今後の説明は、どのような形かも含めて検討したい」とそれぞれ述べた。
水没予定地に暮らす反対住民を含む約100人が傍聴。反対住民の岩下すみ子さん(76)は「こちら側の質問を突きつけることができたのは何年ぶりだろう。県はまともに回答できなかった」と話した。一方、ダム建設に理解を示す川棚町の70代の男性は「市民委の質問は県をあげつらうばかりだった」と批判した。