県観光連盟が販売している「長崎しま旅 わくわく乗船券」の売れ行きが低迷している。昨年10月末に7千枚を発売したが、先月20日までの売り上げは、1.7%の121枚にとどまっている。販売は今月いっぱいで終了し、関係者からは「PR不足」との指摘も出ている。
「わくわく乗船券」は観光客が減少する閑散期の対策として、国境離島新法に基づく国の交付金を生かして新設。本土と五島、壱岐、対馬など離島を結ぶ計19区間の海路と空路が対象となっている。離島に宿泊することを条件とし、往復運賃に100円を追加すると、千円から8千円相当の「体験クーポン券」が付くため、実質的な運賃の値引きとなる。クーポン券が使える体験プログラムは、アクセサリー製作、島巡りクルーズ、トレッキングツアーなど約100種類を用意した。
県観光連盟などによると、当初は秋の観光シーズンに入る昨年9月ごろの発売を目指していたが、制度の組み立てに時間がかかり、予定より2カ月近く遅れた。県は昨年12月以降、お笑いタレントを起用したテレビCMを放映しているが、売れ行きは低調なままだ。
ある観光協会関係者は「船会社の乗船券販売窓口でPRチラシなどが目立っていない。客への働き掛けが足りないのではないか。観光客には大きなメリットがあるのに、とにかく利用者が少ない」と嘆く。壱岐市観光連盟の担当者も「利用者を増やすためには地元宿泊業者ら受け入れ側に制度を周知することも重要」とする。
「準備不足」を指摘する声も。トレッキング体験ガイドを務める対馬市の上原由美子さん(29)は「事前に観光客のニーズ調査などをするべきだったが、(県から事業者に)説明があったのは発売の2カ月前。準備が十分にできなかった。クーポンを島内交通にも使えるように工夫してもよかった」と話す。
ただ、利用者からは評価する声も聞かれる。新上五島町のつばき油製造体験に参加した大村市西本町の同市職員、中山恵美子さん(53)は「これまで知らなかった体験ができたし、とてもお得だった。通年で実施し、メニューも増やしてほしい」と求める。
県は新年度もわくわく乗船券の事業を継続し、予算計上する方針だ。今回の「出遅れ」を念頭に、県観光振興課は「新年度は5月の大型連休までに発売できるように進めたい」としている。
今月末で終了「しま旅 わくわく乗船券」 売れ行き低調「PR不足」
長崎新聞 2019/02/06 [16:00] 公開