ポルトガルの「おばあちゃん」長崎を満喫! 高齢者の社会参画プロジェクト、刺しゅう通じて日本で交流

長崎新聞 2025/04/19 [13:00] 公開

着物姿で出島を満喫する(左から)マルケスさん、ゴメスさん、ソウザさん=長崎市出島町

着物姿で出島を満喫する(左から)マルケスさん、ゴメスさん、ソウザさん=長崎市出島町

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ポルトガルの高齢女性3人が長崎県などを訪れている。同国のデザイナーと心理学者によるプロジェクト「おばあちゃんが働きに来た」の一環。高齢女性の創造性を引き出し、社会参画を促す狙いで、「OLD IS THE NEW YOUNG(老いは新しい若さ)」を合言葉に、日本の伝統文化や人々との交流を楽しんでいる。

 3人はテレーザ・ソウザさん(80)、エリザ・マルケスさん(76)、ジノラ・ゴメスさん(75)。プロジェクトは、ポルトガルの首都リスボンを拠点に活動するデザイナー、スザナ・アントニオさんと心理学者アンジェロ・カンポッタさんが「高齢者がクリエーティブな現場から置き去りにされている」との思いから立ち上げた。高齢の女性たちが、同国の伝統的な刺しゅう技術を用いて、カラフルで洗練された作品を生み出し、人気を得ている。

 3人とも来日は初めて。福岡、長崎、東京を巡り、各地で刺しゅうのワークショップや市民との交流会を開く。長崎は16~18日の3日間で、古くからポルトガルとゆかりがあり、県とポルトガル政府が連携協定を結んでいることから行程に入れた。

 17日は出島を訪れ、着物でおめかしをし、三味線に合わせて踊ったり、近隣を散策したりして、満喫した。ゴメスさんは「出島の風景を見て、ポルトガル人が初めて長崎に来た様子を想像できた。忘れられない体験になった」と笑顔を見せた。

 アントニオさんは、ポルトガルでも高齢化が進み、高齢者の孤立が社会課題となっているとし、「年齢を問わず、誰もが希望を持ち、人生を楽しめる。彼女たちの生き方を広げることでこうした社会課題の解決につなげたい」と話した。