東京都中野区は11日、2023年に閉館した複合施設「中野サンプラザ」跡地の再開発に関する事業計画を見直す方針を区議会で明らかにした。事業費の高騰が背景で、計画は白紙となる見通しだ。野村不動産を代表とする事業者と結んだ協定を解除する方向で協議し、新たに事業者を公募するかどうかも含めて検討する。
区によると、野村不動産側は住宅やオフィスを備えた超高層ビルや、7千人を収容可能なホールを建設する計画を策定した。区は21年、複数の事業者グループの提案から選定。その後、協定を結んだ。事業費は約2600億円と見込まれたが、昨年秋に野村不動産側から資材や人件費の高騰で900億円以上も増えると連絡があった。
同社側はビルの高さを下げてツインタワーにし、住宅部分の割合を増やすなどして収支を改善する案を区に示した。酒井直人区長は「公募時の当初提案から大きく変更され、選定過程の公平性・中立性に課題がある」とのコメントを出した。
中野サンプラザは1973年に開業。老朽化のため閉館した。