中高の入学式、なぜ同じ日に? 長崎県内で「バッティング」が近年増加…3学年差の親大忙し

長崎新聞 2025/04/21 [12:00] 公開

本年度の県立高の入学式。例年4月8日に実施する学校が多い=8日、長崎市小江原1丁目、県立長崎北高

本年度の県立高の入学式。例年4月8日に実施する学校が多い=8日、長崎市小江原1丁目、県立長崎北高

  • 本年度の県立高の入学式。例年4月8日に実施する学校が多い=8日、長崎市小江原1丁目、県立長崎北高
  • 県立高と公立中入学式の一般的な日程
大きい写真を見る
長崎市内で3人の娘を育てる女性は今月8日、大忙しだった。今春、長崎県立高と市立中にそれぞれ進学した次女と三女の入学式が同じ日に重なったのだ。「3学年差きょうだいの家庭は毎年こうなのでしょうか」と、長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」のLINE(ライン)に疑問を投稿。調べてみると、入学式の“バッティング”は、この数年で起きやすくなっていた。

 長崎県内では本年度、県立高と特別支援学校に加え、長崎、佐世保両市などの多くの市町の公立中で、8日に入学式が行われた。女性は午前10時から市立中の入学式に出席。その後はPTAの役員決めなどが昼ごろまで詰まっていた。県立高の入学式は午後1時半からだが、1時間前までには到着しなくてはならず、慌ただしく移動。昼食を取る暇もないまま、夕方まで時間に追われた。

 中学校では、記念撮影をしたり、担任の先生とあいさつを交わしたりする余裕もなく、「何より、小学校を卒業したばかりの三女を置いてきぼりにするのが心配だった」と振り返る。

 県教委に照会し、過去に県立高と県内公立中の入学式が多く実施された日にちを調べると、2年前の2023年度にも同じ現象が起きていた。だがそれ以前は、基本的に高校は8日、中学は7日に入学式を実施。日にちが重なった年はほとんどない。最近、中学が8日以降に入学式を行うようになり、高校とのバッティングが起きやすくなっているようだ。

 入学式の日にちはどのように決まるのか。県教委によると、県立高の場合、県立学校管理規則で定めた春休みは4月7日まで。このため県立高は原則、登校初日の8日の午前中に始業式、午後に入学式を実施する。土、日曜だった年は、順次後ろ倒しとなる。

 中学校は、各市町が管理規則を定める。長崎市と佐世保市の場合、春休みは4月6日まで。初日の7日に小中学校の始業式、8日に中学校の入学式、9日に小学校の入学式というスケジュールが一般的だ。

 両市教委によると、以前は春休みが1日短く、5日までだった。長崎市は23年度、佐世保市は22年度にそれぞれ学校管理規則を改定し、現在のスケジュールになった。多忙な年度初め、教員が余裕を持って新年度の準備に臨めるようにするのが主な目的という。

 ただ、これにより、以前は4月7日が通例だった公立中の入学式が、県立高と同じ8日と重なりやすくなった。カレンダーで確認すると、来年以降28年度まで県立高と長崎、佐世保両市の入学式は同じ日になる可能性が高い。投稿した女性は「県教委と市教委で違うのは理解できるが、連携して日にちや時間を調整できないのだろうか」と要望した。