九州大応用力学研究所や長崎大水産学部などでつくる「スマート沿岸漁業ネットワーク(SFiN)」が、全国の沿岸漁業者に海洋観測に協力してもらい、収集データを基に水温や潮流の変化を予測して出漁判断に役立ててもらう「スマート沿岸漁業プロジェクト」を推進している。予測の精度を高めることで、漁業者の労働時間や燃料費の節約、漁具破損を減らし、経営改善につなげる。本県沿岸で発生する赤潮対策にも役立てる取り組みも始まっている。
スマート沿岸漁業は、従来、漁業者の経験や勘に頼ることの多かった沿岸漁業に先端技術を活用することで、水産業の持続的成長を図る取り組み。SFiNは2017~21年度に水産庁の委託事業に参画した九州大や長崎大、県総合水産試験場など九つの研究機関でスタート。長崎市水産振興課が昨年12月に加わり、現在は全国27機関で組織する。
同プロジェクトでは、漁業者に水温と塩分を計測する機器を貸し出し、漁船に搭載されている潮流計とともにデータを収集。建設環境コンサルタント「いであ」(東京都)が開発した観測データ収集のスマートフォンアプリに近距離無線通信ブルートゥースで送り、アプリからクラウド上に自動で送信される仕組みだ。
収集したデータの質を長崎大がチェック。九州大が潮の流れや水温などを1週間先まで予測し、漁業者は同社が開発したスマホアプリで見ることができる。現在、本県を含め北海道から沖縄まで全国300隻超が協力。データの精度を上げるため千隻の協力を目指している。
プロジェクトから派生した新たな取り組みも進む。長崎大の滝川哲太郎准教授(海洋物理学)は本年度から3年間、県総合水産試験場と赤潮の予測実験を実施。県側がサンプリングで採取した海水からプランクトンの発生状況を調べて、データを送る。滝川准教授は九州大の予測モデルを活用してコンピューター上でシミュレーションし、予測結果を県側に情報提供する。県は出先機関や漁協、市町と情報を共有し、防除剤など早期の対策を講じることで赤潮被害の軽減を図る。
SFiN代表を務める九州大の広瀬直毅教授(海洋物理学)は「漁業者に学術面で貢献してもらうことで予測精度も上がり、ウィンウィンの関係になる」とプロジェクトの意義を強調。その上で「長崎県は離島が多く、海域が広いため、まだまだカバーできていない。漁業者との対話を進めるため、自治体にもサポートしてもらいたい」と語る。
スマート沿岸漁業は、従来、漁業者の経験や勘に頼ることの多かった沿岸漁業に先端技術を活用することで、水産業の持続的成長を図る取り組み。SFiNは2017~21年度に水産庁の委託事業に参画した九州大や長崎大、県総合水産試験場など九つの研究機関でスタート。長崎市水産振興課が昨年12月に加わり、現在は全国27機関で組織する。
同プロジェクトでは、漁業者に水温と塩分を計測する機器を貸し出し、漁船に搭載されている潮流計とともにデータを収集。建設環境コンサルタント「いであ」(東京都)が開発した観測データ収集のスマートフォンアプリに近距離無線通信ブルートゥースで送り、アプリからクラウド上に自動で送信される仕組みだ。
収集したデータの質を長崎大がチェック。九州大が潮の流れや水温などを1週間先まで予測し、漁業者は同社が開発したスマホアプリで見ることができる。現在、本県を含め北海道から沖縄まで全国300隻超が協力。データの精度を上げるため千隻の協力を目指している。
プロジェクトから派生した新たな取り組みも進む。長崎大の滝川哲太郎准教授(海洋物理学)は本年度から3年間、県総合水産試験場と赤潮の予測実験を実施。県側がサンプリングで採取した海水からプランクトンの発生状況を調べて、データを送る。滝川准教授は九州大の予測モデルを活用してコンピューター上でシミュレーションし、予測結果を県側に情報提供する。県は出先機関や漁協、市町と情報を共有し、防除剤など早期の対策を講じることで赤潮被害の軽減を図る。
SFiN代表を務める九州大の広瀬直毅教授(海洋物理学)は「漁業者に学術面で貢献してもらうことで予測精度も上がり、ウィンウィンの関係になる」とプロジェクトの意義を強調。その上で「長崎県は離島が多く、海域が広いため、まだまだカバーできていない。漁業者との対話を進めるため、自治体にもサポートしてもらいたい」と語る。