タイ少数民族の子ども救いたい 台風水害で通学危機 長崎の有志が支援金を募集中

長崎新聞 2024/11/08 [12:20] 公開

水没したアカ族の集落で恐怖に震える姉妹(ピタクライシーさん撮影)

水没したアカ族の集落で恐怖に震える姉妹(ピタクライシーさん撮影)

  • 水没したアカ族の集落で恐怖に震える姉妹(ピタクライシーさん撮影)
  • 寄宿舎の子どもたちの実家周辺(ピタクライシーさん撮影)
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タイ北部に暮らす少数民族「アカ族」の子どもたちを教育支援している長崎県民有志は、9月の台風による水害で親の農業収入が断たれ、学校に通えなくなると危惧。クラウドファンディング(CF)で緊急支援を募っている。
 アカ族はタイやラオス、ミャンマー、中国の山岳地帯で、焼き畑農業や畜産をしながら暮らす。生活に困窮しタイ語を読み書きできないと、売春や麻薬売買に関わる例も少なくない。近年はミャンマー内戦による難民が増えている。
 家が遠くて学校に通えない子どもや親と離散した子どものため、アカ族のティラワット・ピタクライシーさん(60)が17年前から寄宿舎を運営。識字率を高めて就労や国籍取得につなげている。昨年には、大学に進学した元寮生が判事に任官した。
 こうした実情を現地の日本人支援者を通じて知った税理士の岡村康司さんや鉄道愛好家団体「長崎きしゃ俱楽部(くらぶ)」代表世話人の吉村元志さんら県民有志は、設備改善や通学・帰省用のトラック購入をサポートしてきた。
 寄宿舎には現在5~17歳の64人が暮らす。1人が衣食住や学用品などに必要な費用は年17万円程度。親の支払いや支援金などで賄う。だが台風で田畑が水没し、多くの家族が収入源を断たれた。タイ政府や国際機関の支援が行き届かず、復旧復興は進んでいない。
 吉村さんは「子どもたちの未来を開く教育の機会を守りたい」と言う。当座をしのぐためCFの目標額は100万円。衣類や文具など生活必需品の調達、寄宿費や教育費の補塡(ほてん)などに充てる。CFサイトREADYFOR(レディーフォー)で12月13日まで受け付け中。