各国代表が長崎入り 平和式典へのイスラエル不招待 評価の一方、米欧支持する意見も

2024/08/09 [10:10] 公開

式典を巡る問題について報道陣の取材に応じたナサール1等参事官(左)=長崎市内

式典を巡る問題について報道陣の取材に応じたナサール1等参事官(左)=長崎市内

  • 式典を巡る問題について報道陣の取材に応じたナサール1等参事官(左)=長崎市内
  • 原爆落下中心地碑に献花する各国の駐日大使ら=長崎市、爆心地公園
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長崎市が9日に開く平和祈念式典にイスラエルを招待しなかったことを理由に、日本を除く先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)の大使が式典を欠席する問題が波紋を広げた。式典に参列する各国代表は8日、長崎入りし、市の方針を評価する一方、米欧の判断を支持する意見もあった。
 「歴史の正しい側に立った長崎市民と市長に感謝する。平和のメッセージを受け止めていない国を招待しなかったのはよい行動だ」。市内の集会に参加し、取材に応じた駐日パレスチナ常駐総代表部のヒシャム・ナサール1等参事官は市の判断を評価。米英やEUなどの大使の欠席について「広島市がパレスチナを招待しなかったのに(米欧は)式典をボイコットしなかった。私たちは一つの平和、国際法を持っており、ダブルスタンダードがあってはならない」と批判した。
 長崎市の平和祈念式典を前に、各国大使らは爆心地公園で原爆落下中心地碑に献花。計76カ国の在日大使館の代表らが犠牲者を追悼した。ジャマイカのショーナケイ・リチャーズ駐日大使は「争いが続く中、被爆地の声はかつてなく重要。長崎の強いメッセージを聞くため参列したい」。ドイツのティルマン・シュミット=ノイアーブルク公使参事官はイスラエル不招待について「ロシアやベラルーシと同等に扱うのは適切ではない」と述べた。
 この日、東京のNPO法人のプロジェクトの一環で、イスラエルとパレスチナ、日本の若者8人が長崎市を訪れ、被爆者の増川雅一さん(83)の証言に耳を傾けた。原爆投下後の写真を見たパレスチナの20代男性は古里の現状と重ね「ただ悲しく、どう言葉にしていいか分からない。人命が軽々しく扱われていると感じた」と話した。