南米チリのサーモン養殖場の水質を改善しようと、長崎県佐世保市の大石建設が技術提供に乗り出した。長崎大と共同開発した「サブマリンクリーナー」(SMC)の技術を提供し、チリ側の許可を得た上で、2026年の事業化を目指す。
SMCは、養殖場の海底にたまった餌の残りかす、ふんを吸い上げて除去し、水質を改善する。海底に蓄積したトリブチルスズ(TBT)などの環境ホルモンを除去しようと、長崎大などと共同研究を進め、09年に実用化した。海上工事現場などで効果を挙げている。
装置はおわん型で、大きいタイプは直径5メートルほど。クレーン船で海中につり下げて施行する。水深40メートルまでの施工に成功していて、100メートルでも施工できるよう技術開発を進めている。
SMCは海底で水を噴射し、表面の堆積物を巻き上げて吸引する。吸引力が強いため水が濁らず、堆積物の拡散を防ぐ。さらに、酸素濃度が高い海面付近の海水を海底に噴射することで、底質の環境を改善する。赤潮プランクトンの休眠期細胞の除去も可能で、赤潮の抑制効果が期待できるという。1日の施工能力は最大3千平方メートル。
チリでは環境保護を公約に掲げた左派の大統領が22年に就任。サーモン養殖が環境に負荷を掛けているとして規制に乗り出し、養殖場の水質改善が喫緊の課題となっている。
このため、大石建設の技術に興味を持ったチリの業者が技術提供を依頼。大石建設は海外との取引経験が乏しかったため、国際協力機構(JICA)の「ビジネス化実証事業」に申請し、昨年5月に採択された。現地の養殖業者や行政との交渉、現地視察で渡航した際の費用をJICAが支援した。
チリの養殖場が導入している水質改善の技術は「ナノバブル」「マイクロバブル」「海水注入」の三つ。これらの技術は貧酸素化した海底に酸素を供給し、底質の改善を促す。大石建設によると、SMCはピンポイントで堆積物を除去しながら酸素も供給できる画期的な工法という。
今後は現地の3社と協力し、事業を運営する現地法人に装置と技術を提供する。回収した有機物を肥料やバイオガスとして活用する循環型のビジネスモデルも視野に入れる。
同社の中田稔長崎支店長は「チリの養殖場で実績を残し、国内での事業拡大を図っていきたい」と意欲を語った。
SMCは、養殖場の海底にたまった餌の残りかす、ふんを吸い上げて除去し、水質を改善する。海底に蓄積したトリブチルスズ(TBT)などの環境ホルモンを除去しようと、長崎大などと共同研究を進め、09年に実用化した。海上工事現場などで効果を挙げている。
装置はおわん型で、大きいタイプは直径5メートルほど。クレーン船で海中につり下げて施行する。水深40メートルまでの施工に成功していて、100メートルでも施工できるよう技術開発を進めている。
SMCは海底で水を噴射し、表面の堆積物を巻き上げて吸引する。吸引力が強いため水が濁らず、堆積物の拡散を防ぐ。さらに、酸素濃度が高い海面付近の海水を海底に噴射することで、底質の環境を改善する。赤潮プランクトンの休眠期細胞の除去も可能で、赤潮の抑制効果が期待できるという。1日の施工能力は最大3千平方メートル。
チリでは環境保護を公約に掲げた左派の大統領が22年に就任。サーモン養殖が環境に負荷を掛けているとして規制に乗り出し、養殖場の水質改善が喫緊の課題となっている。
このため、大石建設の技術に興味を持ったチリの業者が技術提供を依頼。大石建設は海外との取引経験が乏しかったため、国際協力機構(JICA)の「ビジネス化実証事業」に申請し、昨年5月に採択された。現地の養殖業者や行政との交渉、現地視察で渡航した際の費用をJICAが支援した。
チリの養殖場が導入している水質改善の技術は「ナノバブル」「マイクロバブル」「海水注入」の三つ。これらの技術は貧酸素化した海底に酸素を供給し、底質の改善を促す。大石建設によると、SMCはピンポイントで堆積物を除去しながら酸素も供給できる画期的な工法という。
今後は現地の3社と協力し、事業を運営する現地法人に装置と技術を提供する。回収した有機物を肥料やバイオガスとして活用する循環型のビジネスモデルも視野に入れる。
同社の中田稔長崎支店長は「チリの養殖場で実績を残し、国内での事業拡大を図っていきたい」と意欲を語った。