男性カップル住民票 総務省が長崎県大村市に再考促す 市長「修正する考えない」

2024/09/28 [10:24] 公開

男性カップルの住民票の続柄欄に「夫(未届)」と記載した長崎県大村市に対し、同市から質問を受けていた総務省が27日、記載に難色を示した上で「改めてご判断いただきたい」と回答したことが関係者への取材で分かった。一方、同市は現時点で住民票を修正しない方針という。
 市は5月、異性間の事実婚と同様の表記を採用した住民票を交付。同省は7月、「実務上の支障を来す恐れがある」との見解を市に示した。市は具体的な支障を明らかにすることなどを求め、質問状を同省へ送付していた。
 回答は県を通じて市に送付された。書面によると、「(住民票は)できる限り統一的に記録が行われるべき」とした1999年の最高裁判決を例示。住民票の記載は自治事務だが、「法の趣旨や判決を踏まえた事務処理が求められる」と指摘した。実務上の支障については、社会保障の手続きなどで「世帯主の性別など追加的な確認作業が必要」になるとした。
 一方、市には修正を命じず、助言を踏まえた再考を促すにとどまった。また、最高裁が「犯罪被害者給付金」を巡り、支給対象の事実婚に同性パートナーも該当し得ると判断したことなどに触れ「状況を注視する」と付け加えた。
 園田裕史市長は「現時点で住民票を修正する考えはない」と述べ、回答を精査した上で疑問点などを整理するとしている。