自己肯定感の上昇など「一定の成果」 長崎刑務所の知的障害受刑者モデル事業 関係機関が中間報告

長崎新聞 2024/12/04 [10:57] 公開

作業をする受刑者ら=諫早市小川町、長崎刑務所(写真は一部加工)

作業をする受刑者ら=諫早市小川町、長崎刑務所(写真は一部加工)

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長崎刑務所で取り組んでいる知的障害(疑い含む)のある受刑者の特性に応じた処遇を図る国のモデル事業について、関係機関が3日、同刑務所で中間報告会を開いた。事業は2022年度からの5カ年計画。対象受刑者への聞き取り調査から、自己肯定感の上昇といった「一定の成果」がみられたとし、立ち直りに向けた前向きな意欲喚起につながる可能性が示された。
 モデル事業は、九州内の刑事施設から長崎刑務所に知的障害者(疑い含む)を集め、22年10月に開始。「累犯障害者」の支援に長年関わる社会福祉法人南高愛隣会(諫早市)の職員が刑務所に入り、刑務官らと処遇計画を立案し指導に当たる。同刑務所によると、これまでに延べ65人が事業のプログラムを受けている。
 報告会には、法務省や研究機関、自治体などの関係者が出席した。同省矯正研修所効果検証センターは、受刑者34人に対し、プログラム編入時、中間期、出所時の計3回、個別に聞き取りをした結果を報告。認識の変化を分析し、自己肯定感の高まりがみられたことや、福祉制度への理解向上などを成果として上げた。
 長崎刑務所の村上正剛所長は「最初は消極的だったが、今は(対象者の)ほぼ全員が前向きに取り組み、福祉支援を受けて社会復帰を望む人も増えてきている」と手応えを語った。
 同省によると、今年9月までに事業を経て出所した28人のうち、帰住先を確保できたのは27人(96・4%)、仮釈放者は19人(67・9%)、未決拘禁を含む再入者は5人(17・9%)だった。