iPS移植治験で一部症状改善 パーキンソン病に効果示唆

共同通信 2025/04/17 [01:44] 公開

iPS細胞を使ったパーキンソン病の治験について説明する、京都大の高橋淳教授(左)ら=8日、京都市左京区

iPS細胞を使ったパーキンソン病の治験について説明する、京都大の高橋淳教授(左)ら=8日、京都市左京区

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 人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った神経細胞をパーキンソン病患者の脳に移植する治験で、6人中4人で運動症状が改善し、効果が示唆されたとの研究結果を、京都大のチームが16日付の英科学誌ネイチャーに発表した。移植細胞による腫瘍形成はなく、高橋淳・京大教授は「承認申請に向け安全性と有効性を確認できた」としている。

 住友ファーマは国に製造販売承認を申請する方針で、チームは早ければ年内を目指したいとしている。同社によるとパーキンソン病治療では世界初。

 パーキンソン病は、脳内で神経伝達物質ドーパミンを出す神経細胞が減り、体のこわばりや手足の震えが起こる難病で、根本的な治療法はない。

 チームは50~60代の患者7人に、iPS細胞から作製した神経細胞を移植。治験は18年から開始し、1人は安全性のみを、ほか6人は安全性と有効性について2年間調べた。

 その結果、いずれも安全性に大きな問題はなかった。効果を調べた6人では、細胞がドーパミンを出すことを確認。うち4人は、運動症状を評価する指標で改善がみられた。