映画「長崎-閃光の影で-」今夏公開 原爆投下直後の看護学生が題材…監督は時津出身の被爆3世

長崎新聞 2025/01/18 [12:30] 公開

看護学生を演じる(左から)川床明日香さん、菊池日菜子さん、小野花梨さん©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会

看護学生を演じる(左から)川床明日香さん、菊池日菜子さん、小野花梨さん©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会

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被爆80年に合わせ、原爆投下直後の長崎で被爆者の救護活動に当たった看護学生を題材にした映画「長崎-閃光(せんこう)の影で-」が製作される。7月25日に長崎、佐世保両市内で先行公開、8月1日に全国公開を予定。西彼時津町出身で被爆3世の松本准平監督(40)は「80年前のあの日を二度と繰り返さないために、世界中のあらゆる戦争がなくなることを夢見て、本作が平和への思いをつなぐバトンの一つになることを祈ります」と話している。

 日本赤十字社では原爆投下後、大村や佐世保の海軍病院などの看護婦らが長崎市内外の救護所や病院で救護や治療に当たった。大阪大空襲で古里に疎開していた救護看護婦養成所の学生らも緊急に召集した。日赤県支部が被爆35年の1980年にまとめた証言集「閃光の影で~原爆被爆者救護赤十字看護婦の手記」には約50人が手記を寄せ、座談会も収録している。

 長崎原爆投下の前日を描いた「TOMORROW 明日」(88年)のプロデューサーを務めた鍋島壽夫さんが「原爆投下『後』の物語を今こそ語るべき」と、証言集を基にした映画化を構想。2019年にオファーを受けた松本監督らが4年近くかけて脚本を仕上げた。

 松本監督は12年に監督デビュー。世界で初めて盲ろう者の大学教授となった福島智さんとその母の半生を描いた「桜色の風が咲く」(22年)は国内外で話題を呼んだ。被爆地長崎で生まれ育ち、亡くなった祖父も被爆者だったことから「戦争の悲惨さと原爆の残酷さ、人間の愚かさと素晴らしさを描く映画を作りたい」との思いを抱いてきた。

 映画では焦土と化した古里で10代の看護学生3人が原爆投下から約1カ月間、懸命に命と向き合う姿を克明に描写。23年に長崎市でのロケも含め撮影し、今年春に完成する。

 配役は、主人公の看護学生役が映画「月の満ち欠け」(22年)で日本アカデミー賞新人賞を受賞した菊池日菜子さん。同級生役を映画「ハケンアニメ!」(同)で同賞を受賞した小野花梨さんと、NHK連続テレビ小説「虎に翼」にも出演した川床明日香さんが演じる。