介護を理由とした離職が年間10万人を超え、大きな社会問題になっている。人手不足の中、従業員の突然の退職は企業にとってダメージとなり、従業員も生活の糧を失い経済的な不安を抱える可能性もある。ケアマネジャーの団体「日本介護支援専門員協会」が2022年に創設した資格「ワークサポートケアマネジャー」(WSCM)は仕事と介護の両立を支援する専門職だ。県介護支援専門員協会副会長でWSCMの上野桂信氏(50)にその役割などを聞いた。
-WSCMとは。
ケアマネは介護保険サービスの利用に必要な「ケアプラン」の作成を担うが、WSCMは企業から要請を受けて従業員が仕事と介護を両立できるよう支援する。実務経験5年以上などのケアマネが協会の研修を受講するなどして認定される。全国に314人、県内に6人いる。
具体的には企業や従業員向けの介護離職予防セミナー、予防対策への助言、予防プログラムの策定、従業員への個別相談支援など幅広く支援する。24年度は県の事業委託を受けた県協会から10社に派遣され、セミナーなどを実施した。
-WSCMが求められる背景は。
介護休業・休暇の制度は育児・介護休業法に規定され、各企業の就業規則にも明記されている。しかし休んだ期間に何をすべきか企業も従業員も十分に理解できていないと思う。
制度で認められている「通算93日の休業」で介護は終わらないことが大半で、そのまま離職につながるケースもある。一方、企業側も3年ごとに見直される介護保険に精通しているわけでもなく、従業員が離職しないよう具体的に何をどう助言したら良いか頭を悩ませているのではないか。この役割をWSCMが補完できる。
-休業中は何をすべきなのか。
最初の数週間は、使う介護サービスをケアマネと調整し、会社にも時短勤務などを相談するなどして、仕事と介護を両立できる態勢を整える時間に費やしたい。その後の通院の付き添いなどに休暇を利用すれば良い。
-22年の就業構造基本調査(総務省)によると、介護をしながら働く人のうち介護休業などの制度を利用しているのは全国で10・3%、県内でも8・3%にとどまる。
使い方が分からないという声をよく聞く。介護をする時間にしか制度を使えないと思っている人も多い。
このため4月施行の改正法では、介護に直面した従業員に対し個別に支援制度の周知と利用の意向確認をするよう、事業主に義務付けられる。
ただWSCMの役割は休業・休暇の取得促進ではなく、介護をしながら働けるよう支援すること。離職して専念した親の介護が終わった後も、就労の意欲がわかず貧困に陥るケースもある。社会資源や制度を上手に使いながら仕事を続けていきたい。
-WSCMとは。
ケアマネは介護保険サービスの利用に必要な「ケアプラン」の作成を担うが、WSCMは企業から要請を受けて従業員が仕事と介護を両立できるよう支援する。実務経験5年以上などのケアマネが協会の研修を受講するなどして認定される。全国に314人、県内に6人いる。
具体的には企業や従業員向けの介護離職予防セミナー、予防対策への助言、予防プログラムの策定、従業員への個別相談支援など幅広く支援する。24年度は県の事業委託を受けた県協会から10社に派遣され、セミナーなどを実施した。
-WSCMが求められる背景は。
介護休業・休暇の制度は育児・介護休業法に規定され、各企業の就業規則にも明記されている。しかし休んだ期間に何をすべきか企業も従業員も十分に理解できていないと思う。
制度で認められている「通算93日の休業」で介護は終わらないことが大半で、そのまま離職につながるケースもある。一方、企業側も3年ごとに見直される介護保険に精通しているわけでもなく、従業員が離職しないよう具体的に何をどう助言したら良いか頭を悩ませているのではないか。この役割をWSCMが補完できる。
-休業中は何をすべきなのか。
最初の数週間は、使う介護サービスをケアマネと調整し、会社にも時短勤務などを相談するなどして、仕事と介護を両立できる態勢を整える時間に費やしたい。その後の通院の付き添いなどに休暇を利用すれば良い。
-22年の就業構造基本調査(総務省)によると、介護をしながら働く人のうち介護休業などの制度を利用しているのは全国で10・3%、県内でも8・3%にとどまる。
使い方が分からないという声をよく聞く。介護をする時間にしか制度を使えないと思っている人も多い。
このため4月施行の改正法では、介護に直面した従業員に対し個別に支援制度の周知と利用の意向確認をするよう、事業主に義務付けられる。
ただWSCMの役割は休業・休暇の取得促進ではなく、介護をしながら働けるよう支援すること。離職して専念した親の介護が終わった後も、就労の意欲がわかず貧困に陥るケースもある。社会資源や制度を上手に使いながら仕事を続けていきたい。