三菱電機がオーロラビジョン受注停止 長崎工場製の大型映像装置 海外勢との競争で苦戦

2024/10/18 [11:40] 公開

長崎がんばらんば国体の開会式で場内の様子を映し出す県立総合運動公園陸上競技場(現・トランスコスモススタジアム長崎)のオーロラビジョン=2014年10月、諫早市

長崎がんばらんば国体の開会式で場内の様子を映し出す県立総合運動公園陸上競技場(現・トランスコスモススタジアム長崎)のオーロラビジョン=2014年10月、諫早市

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三菱電機が「オーロラビジョン」の新規受注を4月に停止したことが分かった。世界初の屋外型フルカラー大型映像装置として開発し、長崎工場(長崎県西彼時津町)で一貫製造。国内外のスポーツや娯楽の施設に採用されたが、近年は海外メーカーとの競争で苦戦していた。
 同社は受注停止の理由について「市場の成長性や競争力を総合的に判断した」としている。数年分の受注残があり、製造を続けている。
 初号機は1980(昭和55)年、米大リーグのロサンゼルス・ドジャースの球場に納入。全米オールスターゲームで披露されると他球団に広がり、82年サッカー・ワールドカップ(W杯)スペイン大会でさらに浸透した。
 それまで電光掲示板の主流は白熱電球を並べた単色で、ネオンサインも昼間は見えない欠点があった。オーロラビジョンは屋外でも鮮明なカラー画像を実現。消費電力を抑制し、寿命を数倍に延ばした。
 2018年には、社会や産業の発展に長年貢献した技術革新を表彰する米国電気電子学会主催「マイルストーン」に認定。東海道新幹線などに続き、九州では初の選出となった。プロ野球の複数球団をはじめ、20カ国以上に2100面以上、帯型のオーロラリボンも80面以上を納入した。
 近年は中韓メーカーが台頭し、価格面で苦戦していた。