壱岐の「元寇」 陰惨な戦いの舞台 一支国博物館で企画展

2025/01/03 [15:09] 公開

展示物について説明する河合副館長=壱岐市立一支国博物館

展示物について説明する河合副館長=壱岐市立一支国博物館

大きい写真を見る
長崎県壱岐市芦辺町の市立一支国博物館で、第72回特別企画展「壱岐の元寇展 伝・説・語」が開かれている。2月24日まで。
 元寇(蒙古襲来)の際、壱岐は対馬や松浦と並び特に陰惨な戦いの舞台となったとされ、島内には当時の様子を物語る遺跡や痕跡、伝承がいくつも残っている。同展ではこれらを改めて検証。72カ所の遺称(いしょう)(遺構や遺跡があったと古くから伝わる場所)や痕跡を基に、当時の島の様子や戦線を地図などで解説している。
 展示は鷹島海底遺跡(松浦市)で見つかった石弾や、壱岐市内の寺院で見つかった元寇以前のモンゴルの年号「至元四年」が入った双龍文青銅鏡など20点。蒙古兵の物とされる鉄や革の兜(かぶと)など伝承物も含む。ほかに父が壱岐出身の直木賞作家、故白石一郎氏の生原稿を展示し、作品「蒙古襲来」の一節を紹介している。
 同館の河合恭典副館長は「元寇の明確な舞台である壱岐特有の展示となった」と話す。同館では1月26日、国学院大研究開発推進機構の池田榮史教授による特別講座「モンゴル襲来の考古学研究最前線」がある。