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2024/08/02 [09:49] 公開

おお、あなたは北里柴三郎さん。一昨日の夜、セルフ式の給油所でガソリンを入れると、払い出されたお釣りの千円札に見慣れない肖像が2枚交じっていた。珍しいのは今のうちだけ、と分かっていても、やはり静かに感動▲「使わないで」とイヤイヤをしているように見える…と一部で評判、ホログラム印刷の“首振り”ももちろん試してみた。県内の銀行ATMでも切り替えが進んでいるようだ。渋沢栄一・津田梅子・北里の新紙幣は、あすでデビューから1カ月▲「レジや両替機の対応で百万円単位の出費でした」と知り合いの企業経営者が渋い顔で教えてくれた。新紙幣の「経済効果」は、そうした痛みの積み重ねでもできている▲なるべく長く財布に滞在してほしいが、物価高の出口が見えない昨今だ。「新紙幣は逃げ足が速い」-そんな“悪評”が立つのも時間の問題かもしれない。肖像の3人には何だか気の毒なタイミング▲日銀の追加利上げで為替が円高に振れ、株価は急落した。通貨の国際的価値が回復したのに景気の先行きは不安視されている。経済は難しい▲ところで…。新紙幣との対面に妙に興奮したおかげで、レシートを取らずにスタンドを出てしまった。次回使える値引きのクーポンが一緒に印字されている。帰宅後に気づいた。痛い。(智)