昨季、あと一歩のところで昇格を逃したサッカーJ2のV・ファーレン長崎。下平隆宏監督(53)は悔しさを胸に、強い覚悟を持って新シーズンに挑む。昨季は前監督の二重契約問題の渦中で緊急登板。リーグ戦で最後まで昇格争いに絡み、21勝12分け5敗(勝ち点75)の3位という好成績を残したが、昇格プレーオフ準決勝で敗れたショックは大きかった。「昨季をベースに上積みすることが大事。目標は抜かりなく準備してJ1昇格。これに尽きる。そのためにはホームで負けない雰囲気をつくってほしい」。勝負の2年目に臨む指揮官に目標や思いなどを聞いた。
-1年目を振り返って。
個人としては怒濤(どとう)の1年だった。V長崎のヘッドコーチ就任が決まり、住まいを決めずにすぐに移動してきた。クラブやスタッフがすごく温かく迎え入れてくれて、準備もしっかりしてくれた。最後の最後でJ1昇格に届かなかったが、目標を達成するために、クラブとして成長できた年だと思っている。
-V長崎を指揮しての感想は。
チームとして形になるのが意外と早かった。それはアキ(秋野央樹=今季J1福岡へ移籍)の存在が大きかった。彼がいることで、僕がやりたいサッカーを表現できた。戦術理解度の高い選手も多かった。
-就任当初から守備を強化した。
V長崎を率いるまでは守備を重視していなかった。「攻撃が最大の防御」みたいな考えで、ボールを持ち続けることが大事だと思っていた。自分の中では、V長崎の下部組織で実践しているゾーンディフェンスを採用したのが大きかった。相手を引き込む意図的な守備をすることによって、鋭いカウンターから得点できた。
-目標の「1試合平均1失点以下」は達成できなかったが、リーグ最少の5敗だった。
5敗でも、1試合平均勝ち点が1・97で「2」に届かなかった。(2位で)自動昇格した横浜FCは「2」。得点力があったのに、なぜ届かなかったのか。昇格した3チームとの差は失点数。V長崎の1試合平均失点が1・03だったのに対して、清水は1、横浜FCは0・71、岡山は0・76だった。V長崎は特に後半立ち上がりの失点が多く、全体の3分の1。総得点はリーグトップの「74」で手応えを得たが、守備の部分で明確な課題が見えた。
-2年目はチーム編成に関わることができ、より下平カラーを出せる。補強のポイントは。
守備が補強ポイントだと認識している。攻撃の部分は継続できる。1年目と同じサッカーをしていたら衰退につながる。常に新しい刺激が各ポジションに必要で、バージョンアップしないといけない。昨季をベースに戦力を上積みする。
-サポーターの期待も大きい。今季の目標は。
果たせなかったJ1昇格。これに尽きる。「ぶっちぎりで昇格する」と言いたいが、J2はそんなに甘くはない。着実に勝ち点を積み上げて昇格に向けて戦っていく。
-J1から鳥栖、札幌、磐田が降格。J3から大宮、今治、富山が昇格してくる。今季のJ2をどう見ているか。
J1から降格してきた3チームは力があるし、ライバルになる。2024年のプレーオフに残った仙台、山形も強い。J2の半分以上が「J1昇格」を目標に掲げる中で、昇格できるのは3チーム。どのクラブも昇格するために補強をして、あの手この手で工夫をしてくる。抜かりなく準備しないといけない。
-V長崎を応援するサポーターへ。
理想はホームで全試合勝つこと。それにはクラブ、監督、選手だけでなく、サポーターの力が必要。素晴らしいスタジアムがある。相手チームが「ピースタでサッカーしても勝てる気がしない」という雰囲気をつくってほしい。一緒に「最高の舞台」に行きましょう。
【略歴】しもたいら・たかひろ 青森県出身。五戸高(青森)で全国高校選手権などに出場。卒業後は東京の美容院への就職が決まっていたが、プロサッカー選手の夢を断ちきれず、日立(現・J1柏)のテストを受けて入団した。現役時代は柏、FC東京などでプレー。2004年に引退後、柏の強化担当として村上佑介(現・V長崎コーチ)らをスカウトした。10年に柏U-18の監督に就任。12年に秋野央樹らを率いてクラブユース選手権で優勝した。Jリーグでは柏、横浜FC、大分の監督を務め、V長崎は4クラブ目。筋トレマニアで、筋肉ライバルは増山朝陽。好きな言葉はマニアの間ではやっている「ノーペイン、ノーゲイン(痛みなくして得るものなし)」。175センチ、73キロ、体脂肪率11%。53歳。
-1年目を振り返って。
個人としては怒濤(どとう)の1年だった。V長崎のヘッドコーチ就任が決まり、住まいを決めずにすぐに移動してきた。クラブやスタッフがすごく温かく迎え入れてくれて、準備もしっかりしてくれた。最後の最後でJ1昇格に届かなかったが、目標を達成するために、クラブとして成長できた年だと思っている。
-V長崎を指揮しての感想は。
チームとして形になるのが意外と早かった。それはアキ(秋野央樹=今季J1福岡へ移籍)の存在が大きかった。彼がいることで、僕がやりたいサッカーを表現できた。戦術理解度の高い選手も多かった。
-就任当初から守備を強化した。
V長崎を率いるまでは守備を重視していなかった。「攻撃が最大の防御」みたいな考えで、ボールを持ち続けることが大事だと思っていた。自分の中では、V長崎の下部組織で実践しているゾーンディフェンスを採用したのが大きかった。相手を引き込む意図的な守備をすることによって、鋭いカウンターから得点できた。
-目標の「1試合平均1失点以下」は達成できなかったが、リーグ最少の5敗だった。
5敗でも、1試合平均勝ち点が1・97で「2」に届かなかった。(2位で)自動昇格した横浜FCは「2」。得点力があったのに、なぜ届かなかったのか。昇格した3チームとの差は失点数。V長崎の1試合平均失点が1・03だったのに対して、清水は1、横浜FCは0・71、岡山は0・76だった。V長崎は特に後半立ち上がりの失点が多く、全体の3分の1。総得点はリーグトップの「74」で手応えを得たが、守備の部分で明確な課題が見えた。
-2年目はチーム編成に関わることができ、より下平カラーを出せる。補強のポイントは。
守備が補強ポイントだと認識している。攻撃の部分は継続できる。1年目と同じサッカーをしていたら衰退につながる。常に新しい刺激が各ポジションに必要で、バージョンアップしないといけない。昨季をベースに戦力を上積みする。
-サポーターの期待も大きい。今季の目標は。
果たせなかったJ1昇格。これに尽きる。「ぶっちぎりで昇格する」と言いたいが、J2はそんなに甘くはない。着実に勝ち点を積み上げて昇格に向けて戦っていく。
-J1から鳥栖、札幌、磐田が降格。J3から大宮、今治、富山が昇格してくる。今季のJ2をどう見ているか。
J1から降格してきた3チームは力があるし、ライバルになる。2024年のプレーオフに残った仙台、山形も強い。J2の半分以上が「J1昇格」を目標に掲げる中で、昇格できるのは3チーム。どのクラブも昇格するために補強をして、あの手この手で工夫をしてくる。抜かりなく準備しないといけない。
-V長崎を応援するサポーターへ。
理想はホームで全試合勝つこと。それにはクラブ、監督、選手だけでなく、サポーターの力が必要。素晴らしいスタジアムがある。相手チームが「ピースタでサッカーしても勝てる気がしない」という雰囲気をつくってほしい。一緒に「最高の舞台」に行きましょう。
【略歴】しもたいら・たかひろ 青森県出身。五戸高(青森)で全国高校選手権などに出場。卒業後は東京の美容院への就職が決まっていたが、プロサッカー選手の夢を断ちきれず、日立(現・J1柏)のテストを受けて入団した。現役時代は柏、FC東京などでプレー。2004年に引退後、柏の強化担当として村上佑介(現・V長崎コーチ)らをスカウトした。10年に柏U-18の監督に就任。12年に秋野央樹らを率いてクラブユース選手権で優勝した。Jリーグでは柏、横浜FC、大分の監督を務め、V長崎は4クラブ目。筋トレマニアで、筋肉ライバルは増山朝陽。好きな言葉はマニアの間ではやっている「ノーペイン、ノーゲイン(痛みなくして得るものなし)」。175センチ、73キロ、体脂肪率11%。53歳。