九電みらいエナジー、大村の太陽光発電所に蓄電池併設 新ビジネスモデルを検証 長崎

2025/02/05 [12:30] 公開

蓄電池併設のFIP転換のモデル図

蓄電池併設のFIP転換のモデル図

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九電みらいエナジー(福岡市)は4日、大村メガソーラー第4発電所(長崎県大村市寿古町)に2025年度中に蓄電池を併設し、新たなビジネスモデルを検証すると発表した。太陽光発電所と蓄電池を一体的なシステムとして運用。電力を売買する「卸電力市場」と、需給バランスを取る際の調整力を取引する「需給調整市場」を活用し、再生可能エネルギーの有効活用と収益向上を図る。

 第4発電所は16年に運転開始。出力1990キロワット、容量7404キロワット時の蓄電池を設置する。経済産業省の補助事業に採択されており、同社の投資額は4億円程度の見込み。蓄電池の運用開始に合わせ、固定価格買い取り制度(FIT)から、発電事業者が市場で売電する際に市場価格に一定の補助額が上乗せされる「FIP」制度に切り替える。

 太陽光併設型蓄電池を使い複数の市場を活用する「マルチユース運用」は国内初の取り組みという。実現できれば現状より3割程度利益が増えるとみている。太陽光発電などの再エネが供給過剰となった場合に一時停止せざるを得ない「出力制御」を回避できる効果もある。

 同社は、実証を通じ太陽光発電と蓄電池の発電・充放電計画の精度やシステム設計、市場運用などについてノウハウを得る。このモデルの実用化でFIT期間終了後も安定収入が期待できるとし、同社は自社設備だけでなく他社発電設備の運用受託も進める考え。