きょう「猫の日」 人の手で命奪わない…長崎市、殺処分機1年以上使用せず

2025/02/22 [13:00] 公開

長崎市動物愛護管理センターで管理されている猫。新たな飼い主を待っている=同市茂里町

長崎市動物愛護管理センターで管理されている猫。新たな飼い主を待っている=同市茂里町

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猫の殺処分数が例年、中核市で全国ワースト上位の長崎市だが、2023年9月を最後に殺処分機を使った「人の手による殺処分」をしていない。市の担当者は「ボランティアや市民の協力が大きい」と話す。ただ、遺棄やふん尿による生活環境被害は後を絶たず、人と猫が共生できる社会は道半ばだ。2月22日は「猫の日」。

 同市茂里町の市動物愛護管理センター。今月中旬、記者が部屋に入ると、2匹の猫がカメラに向かって鳴いた。同センターが管理する猫は、昨秋ごろは約40匹に増えたが、現在は6匹。地元ボランティアにより民間保護施設へ移されたり、同センターの譲渡会で引き取られたりして同センターを出る猫がいる一方、生後間もない猫が自然死してしまうケースも多い。

 環境省の集計では22年度、同市の猫の殺処分数は全国の中核市でワースト3位の多さだった。しかし、自治体が同省へ届け出る殺処分数には自然死なども含まれる。「人の手による殺処分」がなくても、統計上ゼロにすることは難しい。同市で殺処分数が過去最少の73匹だった23年度は自然死が約7割を占めた。

 同センターの德永千洋所長は不幸な猫を減らす主な方法として▽野良猫の不妊化を進めて地域住民らが餌やりや猫用トイレを管理する地域猫活動▽保護猫の里親への譲渡-を挙げる。

 具体的な施策として同市は14年度から「まちねこ不妊化推進事業」を開始。飼い主のいない猫を地域住民らが不妊化する際の費用を助成。さらに24年度は殺処分ゼロに向けた取り組みとして、クラウドファンディング(CF)型ふるさと納税を行い、目標を上回る約350万円の寄付が集まった。幼い猫の自然死を防ぐためのミルクボランティアの養成も24年度に始め、今後も継続する予定だ。

 一方でボランティアらから、猫の遺棄や生活環境被害は「減っていないのでは」との指摘がある。実際に同センターの敷地内に遺棄されたケースが本年度だけでも数件発生。市条例で禁止されている不妊化などせずに、餌を与え続けている住民が近隣住民とトラブルになる事例も報告されている。