「場面緘黙」知ってもらう機会に 長崎市で経験者カフェ 来月9日、限定オープン

2024/10/23 [12:15] 公開

場面緘黙とは

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学校や職場などで“話したくても話せない”症状が続く「場面緘黙(かんもく)」の経験者がスタッフとしてもてなす「スモールステップカフェ」が11月9日、長崎市内で限定オープンする。啓発団体「かんもくライブフェス」が今月、富山県で第1回を開き、同市が2回目。共催する「free space & cafe しなぷす」の代表、土居麻友美さん=同市=(42)は「場面緘黙を知ってもらう機会にしたい」と期待する。
 場面緘黙は、ある場面では話せるが、特定の状況になるとうまく話せず、その症状が1カ月以上続くこととされる。土居さんは高校時代まで、家の外ではほとんど話せず、不安や恐怖に苦しんだ。「あいさつをしない」と後ろ指を指され、「学校にいる間は体が固まり、息が詰まるような感覚だった」。特に大変だったのは、困ったときに周りを頼れないこと。悩みに気付いてもらえず、“生きづらさ”を抱えて過ごした。
 進学や就職で新しい環境に飛び込むたび、少しずつ話せる場面が増えていったという土居さん。人と関わる楽しさを感じ始めている。ただ、今でも安心できる環境でないと話せない“後遺症”が残る。
 県内をはじめ九州で当事者団体が少なく、イベントの開催も非常に少ないと感じ、「長崎から場面緘黙について広めよう」と、カフェ開店にこぎ着けた。土居さんは「当事者や後遺症に悩む人とのつながりをつくりたい。理解が進み、生きやすい社会になれば」と話した。
 カフェは11月9日正午から午後4時半まで計2回、「しなぷす」(新大工町)で開く。定員は各回10人程度で事前予約制。特別メニューの提供や公認心理師による無料相談も予定する。