「緩やかに回復」22カ月連続 3~4月の長崎県内金融経済概況 日銀長崎支店

長崎新聞 2025/04/20 [11:00] 公開

米トランプ政権の関税政策の影響などについて話す伊藤支店長=長崎市炉粕町、日銀長崎支店

米トランプ政権の関税政策の影響などについて話す伊藤支店長=長崎市炉粕町、日銀長崎支店

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日銀長崎支店は18日、3~4月の県内金融経済概況を発表した。景気全体は「緩やかに回復している」として22カ月連続で判断を据え置いた。一方で先行きについては人手不足感の強まりや物価上昇に加え、米トランプ政権など各国の通商政策の影響を注視していく必要があるとした。

 全7項目で3月の前回判断を維持。個人消費は「一部に物価上昇の影響が見られるものの緩やかに回復」。2月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、長崎市)は前年比プラス3%程度となった。

 観光は、2月の主要ホテル・旅館の宿泊者数が前年を上回った一方、悪天候などの影響で主要観光施設の入場者数は前年を下回った。開業から半年が経過した長崎スタジアムシティの影響について伊藤真支店長は「宿泊や飲食というところについては効果があるのではないか」と話した。

 生産は、電子・デバイスと造船が増加。機械や原動機、大・中型モーター、冷熱機器は弱めの動き。住宅投資は足踏み状態、公共投資は回復。設備投資は増加の動きが一服し、雇用・所得は緩やかに改善している。

 伊藤支店長は「回復から増加局面に転じるには、所得環境の好転という実感が伴ってくる必要がある」と述べた。連合長崎が示した今春闘の第1回集計で賃上げ率が全国を上回っていたことについて、「こうした動きが広がっていくか、その結果、個人消費の回復を支える動きを強めていくか注視していく必要がある」とした。