西肥バス、来月から路線廃止・減便 乗り合いタクシー導入も…市民「住みにくくなる」

長崎新聞 2025/03/27 [11:30] 公開

西肥バスは各バス停にダイヤ改正の時刻表を掲示し、混乱のない利用を呼びかけている=佐世保市八幡町

西肥バスは各バス停にダイヤ改正の時刻表を掲示し、混乱のない利用を呼びかけている=佐世保市八幡町

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佐世保市の西肥自動車(西肥バス)は今月末で、同市と周辺市町で運行する15路線を廃止し、4月1日のダイヤ改正では大幅な減便を実施する。運転手不足が深刻さを増し、住民の足への影響が懸念される。廃止路線について市は代替手段として、予約制乗り合いタクシーを導入するが、相次ぐ減便などで市民からは「住みにくくなる」などと切実な声が上がっている。

 西肥バスは利用実態を検証して路線廃止を決定。佐世保市は7路線で新たな対応が必要として、それを5エリア(烏帽子、弓張、宮、針尾、中里・皆瀬)に分けて、4月1日から予約制乗り合いタクシーを導入する。

 住民のニーズに応じて主要施設や、エリアから近接する路線バスのバス停へとつなぐ専用の停留所を新設。タクシーが住民の自宅と停留所を往復する想定で利用を促す。タクシー会社が各エリアで早朝から夕方まで1日8便を運行。各便の時間帯にタクシー2台で対応する。観光地の弓張岳展望台など、エリア外の一般者の利用にも対応する。

 料金は1人片道350円で、乗り合いの場合は250円。小学生以下は180円となる。実際のタクシー料金との差額は、市が補(ほ)塡(てん)。月~金曜日に運行し、土日祝日は運休となる。

 市は住民と協議を重ねて計画をまとめた。烏帽子エリアの山手地区町内連絡協議会の八頭司俊会長は「廃止は大問題。地域の理解もあって、やむなく受け入れた。高齢者が多く、買い物や病院へ行き来する手段が必要」と強調。「毎年、問題点を検証しながら、改善を図る必要がある」と指摘する。

 一方、西肥バスは4月から路線バスを平日、現行の1171便から220便減らす。朝、夕の通勤、通学の時間帯も例外ではなく、全体で2割弱の減便となる。早岐地区から市中心部の病院に通勤する30代女性は、出勤の便が30分早まり、帰宅の便は15分遅くなるという。「交通環境が悪く、住みにくくなる。引っ越しも考えている。運転手が無理をして、事故になっても困る」と懸念する。

 鹿町町から乗り換えを経て、通学する県立佐世保北高の1年生(16)は「帰宅時は今でも1~2時間かかる。乗り換えがうまくいかなかったら心配。減便は困る。部活の時間も制約される」と口にする。西肥バスは各バス停に新たな時刻表を掲示し、ホームページなどでダイヤ改正を周知。「混乱のない利用をお願いしたい」と呼びかけている。

 宮島大典市長は26日の定例会見で「公共の足が弱ることは市民への大きな影響と認識している。代替交通、ライドシェアなどを活用し、利便性を損なわない形で、策定している地域公共交通計画を充実させたい」と述べた。