住民票の続柄に「夫」記載 長崎・大村の男性カップル 総務省が対応検討

2024/05/28 [10:00] 公開

長崎県大村市が、男性カップル世帯の住民票で、世帯主と同居するパートナーの続柄欄に事実婚関係であることを示す「夫(未届)」と記載したことが27日、当事者などへの取材で分かった。日本で同性婚は認められておらず異例の措置。住民票業務を所管する総務省は「(大村市のようなケースは)初めて聞いた。まずは内容を確認した上で、対応を検討したい」としている。
 住民票を交付されたのは松浦慶太さん(38)と藤山裕太郎さん(39)。2日付で、続柄欄は松浦さんが「世帯主」、藤山さんが「夫(未届)」と記載されている。
 同市は昨年、性的少数者(LGBT)のカップルを公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入。2人は今年4月、同市の宣誓制度に申請し、受理された。住民票の表記については2人が希望。市が対応を検討し、記載を認めた。
 同市の宣誓制度では市営住宅への入居や保育所への入所申し込み、母子健康手帳の交付などの行政サービスが可能になる。一方、希望する続柄を住民票に記載する仕組みは想定されていなかった。全国には同性カップルが希望すれば続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」とできる自治体もあるが、実際に記載した例は初めてとみられる。
 松浦さんは取材に「画期的な対応。こうした実例ができたことは他の性的少数者カップルにも勇気と喜びを与える」と話した。
 総務省住民制度課の担当者は「同性パートナーについて住民票に世帯主との続柄を記載する場合、『同居人』が考えられる」とし、「どう対応するか検討したい」と話した。

◎同性婚
 同性同士のカップルの結婚。日本の民法や戸籍法の諸規定では認められていない。法的な不利益として、パートナーが亡くなった際に法定相続人になれない、所得税の配偶者控除を受けられない-などが挙げられる。同性婚実現に向け活動するNPO法人「EMA日本」によると、2001年にオランダで法的に認められた。日本国内では、同性カップルを公的に認定するパートナーシップ制度を導入する自治体が増えている。