吃音の若者「成長の一歩」 長崎で注カフェ開催、諫早出身の辻さん 接客で理解広げ自信に

2024/05/06 [10:30] 公開

吃音への理解を深めてもらおうと、家族連れに経験を伝える辻さん(中央)=長崎市平和町、「シェアキッチン・くるねこんね」

吃音への理解を深めてもらおうと、家族連れに経験を伝える辻さん(中央)=長崎市平和町、「シェアキッチン・くるねこんね」

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 話し言葉が滑らかに出ない発話障害の一つ、吃音(きつおん)の若者が接客スタッフを務める「注文に時間がかかるカフェ(注カフェ)」が5日、長崎市内で開かれ、諫早市出身の佐賀大2年、辻勇夢さん(19)らが接客に挑戦した。当事者の小学生らに自らの経験を伝えた辻さんは「話せたのは自信につながり、成長の一歩になった」と充実した表情で語った。
 注カフェは高校生以上の当事者の学生が接客を通じて自信をつけ、客として参加した人に吃音への理解を広げ、社会参加を促進する試み。2021年に東京で始まり、昨年8月の福岡市会場に客として参加し同世代が前向きに取り組む姿に感動した辻さんが応募。初の本県開催につながった。
 この日は1時間ごとに計3回開き、事前に申し込んだ計約30人が来店。辻さんと、京都と大阪の学生計3人で受け付けや飲み物の注文などに対応した。
 辻さんは積極的にテーブルを回り、客として参加した当事者の小学生とその家族の悩みを聞き、自身の経験を語った。「後悔しているのは全て自分で解決しようとしたこと」。周囲の目が気になり、ネガティブな気持ちを抱えて過ごした小中学校時代を振り返り「先生や両親に話し、助けてもらうのは大事」とアドバイスした。「生まれ育った長崎で開きたい」と注カフェに応募した経緯も伝えた。
 当事者の小学3年生の次女らと訪れた、長崎市の看護師の男性(35)は「悩みを共有できる良い時間だった。吃音に関係なく、自分の子もやりたいことに挑戦してもらえたら」と話した。別の当事者の小学生も「僕もお兄ちゃんやお姉ちゃんみたいな人になりたい」とメッセージにつづった。