核兵器禁止条約への参加を日本政府に求める一般社団法人「核兵器をなくす日本キャンペーン」が発足した。被爆者団体や非政府組織(NGO)など約30の団体や個人でつくる「核兵器廃絶日本NGO連絡会」を母体に設立した。政府や国会議員への働きかけと世論の盛り上げを取り組みの柱とする。
法人の専務理事に就いた「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)国際運営委員の川崎哲さん(55)は「いわばICANの日本版。幅広い団体や運動のつながりを強め、条約批准へと推し進める役割を担っていく」と話す。
キャンペーンは被爆85年となる2030年までに日本の核禁条約批准を目指す。実現までの具体的なステップとして「核禁条約締約国会議へのオブザーバー参加」「『条約参加をめざす』という政治宣言」「東アジアの緊張緩和」などを政府に促していく。
昨年夏、設立資金としてクラウドファンディングで約800人から1000万円以上を集めた。法人化で財政や人員の基盤を固めようと、事務所を東京に構え、専従職員を配置し、4月1日に法人登記を申請した。代表理事には長崎で被爆した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の田中熙巳さん(91)が就いた。
今後は、国際会議や市民集会といったイベントの開催、勉強会への講師派遣、ネットワークづくりなど、さまざまな取り組みを予定。継続的な寄付で支援する「マンスリーサポーター」を募っている。
川崎さんと、専従職員になった浅野英男さん(27)の2人は8日、長崎市を訪れ、被爆者団体などに協力を呼びかけた。川崎さんは「将来『このキャンペーンが日本の核禁条約批准の起点となった』と評されるような大きな運動を展開していきたい」。米国の大学院で核軍縮について学んだ浅野さんは「市民の声が政治を動かし、社会を変えていくと実感できるキャンペーンにしたい」と意気込みを語った。
20日午後1時半から東京・明治学院大白金キャンパスで発足記念シンポジウムを開き、オンラインでも配信する。