長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業の是非を考えるシンポ「清流を守る 未来を守る」が23日、町公会堂であり、ダムの必要性や公共事業のあり方について意見を交わした。
反対住民や市民らでつくる実行委と、超党派の国会議員でつくる議員連盟「公共事業チェックとグリーンインフラを進める会」が共催。約250人が参加した。
京都大名誉教授の今本博健さん(河川工学)、元国土交通省淀川河川事務所長の宮本博司さんは利水面の問題点を指摘。今本さんは「(建設計画を)中止し、川棚川流域全体の治水計画を抜本的に見直すべき」と主張。今後、地球温暖化に伴い、降雨量が増え、流量が治水計画の1.2倍に増加した場合「ダムは役に立たない。一刻も早くダムに代わる方法を考えて」と指摘した。
宮本さんも治水計画について、判断材料となる雨量や流量などのデータ検証が不十分で「ずさん」と強調。「住民に『立ち退いて』とお願いするのであれば、真剣にデータを出すべき」と再検証を求めた。
滋賀県知事時代に六つのダム建設を凍結・中止した同議連代表代行の嘉田由紀子参院議員は、現住家屋を強制撤去した行政代執行の例はないとし「非人道的で憲法違反。やるべきでない」と力説した。現地実行委員長で反対住民の岩下和雄さんは「ダムは不要。建設予定地には多くの土地がある。自然を壊すのではなく、生かすまちづくりを」と呼びかけた。
「流域全体の治水、見直しを」 長崎・川棚でシンポジウム 石木ダム事業の是非考える
2024/03/25 [12:30] 公開