長崎市立野母崎小(福田全伸校長、111人)の5年生は毎年、「野母崎の海」について学び、環境問題への理解を深めている。本年度のテーマは「海洋漂着ごみ」。今月上旬、海岸で拾ったごみで同市の端島(軍艦島)に見立てたアート作品を制作した。児童の一人は「自分たちで考えて行動してすごく楽しかった。これからもきれいな海を守りたい」と笑顔を浮かべた。
今月4日、参加した5年生27人は軍艦島を望む田の子海岸でごみ拾いを実施。ペットボトルのキャップや漁具、プラスチック製のフォークなどが集まった。それらを青や白のペンキで塗って海を表現した、ふすま(高さ約180センチ、幅約90センチ)4枚に接着剤で貼り付け、迫力ある軍艦島を再現した。
制作には野母崎地区で清掃活動を続ける市民グループ「team長崎シー・クリーン」(出水享代表)が協力した。昨年11月、同校からの依頼を受け、出水代表らが、温暖化で取れる魚種が変わっている現状や海を漂うマイクロプラスチックについて講義。「海洋ごみについて野母崎から発信する」手段として、児童が海ごみによるアート制作を提案した。
講義の前の昨年10月、児童らは野母崎の海の現状を観察しようと地元住民の協力で「櫓(ろ)こぎ」を体験。漂着ごみが流れ着き、港が汚れていることを痛感していたため、出水代表の話はすとんと胸に落ちた。講義後、自主的に地域のごみ拾い活動に取り組む児童もいたという。
出水代表は「自分で考えて行動することで関心を持ってもらえる。(児童の活動で)市民が海ごみについて考えるきっかけにもなってほしい」と期待する。
アート制作を指導した小学校講師の菅原真希さん(39)は「子どもたちのアイデアが海を守る活動の発信につながり、地域の人にもごみ拾いが浸透してほしい」と話した。
完成した作品は春休み期間中、野母町の市軍艦島資料館に展示される。